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遺族が直面する法律問題

生命保険問題

自殺免責特約とは?

 保険法51条1号は、「被保険者が自殺」したとき、保険会社が保険給付を行う責任を負わないと定めています。

 また、生命保険約款には、責任開始の日(一般的には①契約の申込書への署名・捺印、②医師による検査又は告知、③第1回目の保険料支払いの①~③が終了した日)から3年又は2年以内の自死については保険給付を行う責任を負わないとする自殺免責特約が定められていることが一般的です。

 このように、免責期間内に自死が行われた場合、自死であることを理由に、保険請求を認めない契約となっているのです。

免責期間の自死でも保険金の支払いが認められる場合

 では、免責期間内の自死であった場合保険会社は全て保険金の支払いを免責されてしまうのでしょうか。

 まず、自殺免責特約における「自殺」とは、故意に自己の生命を絶って死亡することをいいます。

 そのため、被保険者である家族が意思無能力者であったり、精神疾患による精神障害のため、自由な意思決定に基づいて自己の生命を絶ったとはいえない場合、自殺免責特約における「自殺」にはあたらないと解釈されています。

 したがって、自殺免責特約期間中の自死であっても、家族が自由な意思決定に基づいて自己の生命を絶ったといえないのであれば、自殺免責特約は及ばず、保険金の支払いが認められると解されています。

意思無能力などの立証責任

 家族が自由な意思決定に基づいて自己の生命を絶ったといえないことは、誰が立証責任を負うべきでしょうか。

 実務上、遺族が、家族の意思無能力や、自由な意思決定に基づいて自己の生命を絶ったといえないことについて立証責任を負うと解されています。

 そのため、遺族が自死した家族の意思無能力を立証するためには、自死に至る経緯、受診しているのであればカルテなどの医学的資料、周りの人たちの証言、自死の状況、労災認定がなされている場合は労働基準監督署が作成した資料など、必要な資料を早期に集める必要があるといえます。

免責期間を過ぎた場合の扱い

 自殺免責特約に定められた期間を経過した場合、遺族は無条件に保険給付を受けることができるのでしょうか。

 自殺免責特約に定められた免責期間を経過した自死は、生命保険契約とは無関係な動機、目的による自死であり、専ら又は主として保険金の取得を目的としたものとはいえないと推定されると解されています。

 そのため、自殺免責特約の免責期間を過ぎた自死は、犯罪行為等が介在し、当該自死による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事情がある場合でなければ、自死の動機、目的が保険金の取得にあることが認められるときであっても、免責の対象とはならないと解されています。