災害共済給付金(死亡見舞金)請求の時効の問題

1 災害共済給付金(死亡見舞金)請求の時効は2年間

 学校の管理下で自死が起きた場合、災害共済給付金(死亡見舞金)の請求を行うことができます。

 この災害共済給付金(死亡見舞金)の時効は、自死から2年間とされていますので、自死の翌日から2年が経過するまでに災害共済給付金(死亡見舞金)の請求を行っておかなければなりません(※1)。

2 調査を行う間に2年が経過することもある

 子どもの自死が生じた場合に、市町村(学校の設置者)や学校は、「児童・生徒の自殺が起きた時の背景調査の指針」(文部科学省)に基づいて背景調査を行います。

 また、その自死にいじめが背景として疑われる場合には、いじめ防止対策推進法28条の重大事態として「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(文部科学省)に基づいて調査を行っていく必要があります。

 これらの調査を行う場合には、まず基本調査を踏まえて、詳細調査に移行し、調査委員会の設置、調査委員の選任を行います。その上で、調査委員会において調査計画、調査内容の検討、遺族らに対する調査計画・調査内容の説明及び聴き取り、学校関係者・関係生徒に対するアンケート及び聴き取りなどを行い、調査報告書の作成、報告等を行うなど多岐にわたる手続や手順を踏む必要があります。

 そのため、実際には、これらの調査を行っている間に2年が経過してしまうことがあります。このような場合には災害共済給付金を請求することはできなくなるのでしょうか。

3 独立行政法人日本スポーツ振興センターの見解

 この点について、独立行政法人日本スポーツ振興センターは、「裁判や第三者委員会の調査等により、学校の管理下の災害であることが2年以上経過して判断された場合など、特別の事情があると認められる場合は、時効の利益を放棄します。」という見解を表明しています(※2)。

 したがって、万が一、裁判や第三者委員会の調査のために既に自死から2年以上が経過してしまった場合には、この見解に基づくと、第三者委員会の調査等により2年以上経過していることを日本スポーツ振興センターに伝えて手続を行うことで時効を主張されずに請求することが可能となります。

4 念のため2年経過する前に請求をしておきましょう

 もっとも、このような記載があるからといって、どのような場合に日本スポーツ振興センター側が時効の主張をしないのかは明確ではなく、仮に時効を主張された場合には争いとなる可能性があります。

 そこで、自死が生じてから2年が経過していない場合には、第三者委員会の調査中である場合でも、その旨を日本スポーツ振興センターの事務局に伝えて、災害共済給付金(死亡見舞金)請求を行うことが重要です。

5 余裕をもって請求を行うことが重要です

 災害共済給付金(死亡見舞金)の請求においては、原則として学校を通じて、学校の設置者(市町村等)が請求書類を日本スポーツ振興センターに提出する必要があります。

 書類の不備がある場合や、場合によっては学校側が請求書類の記載について事実と異なる点があると主張して日本スポーツ振興センターへの書類の提出に抵抗することもあります。その場合には、日本スポーツ振興センターにも相談を行いながら、学校の設置者や学校と交渉を行い、書類を提出するように調整を図る必要もあります。

 したがって、災害共済給付金(死亡見舞金)は時効間際ではなく、余裕をもって請求を行うことが重要です。

6 おわりに

 災害共済給付金の時効期間を経過すると、第三者委員会や裁判などの特別の事情がない限り、それ以降に請求することは困難となります。災害共済給付金請求の時効の問題やその他、学校や自治体の対応に問題がある場合には当弁護団にご相談ください。

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※1 独立行政法人日本スポーツ振興センター法第32条

※2 災害共済給付請求ガイドブック(保護者用 令和8年9月発行版)10頁