遺族の方の思いを大切に

 私は、広島で弁護士をしている佃祐世(つくださちよ)と申します。

 私は、約8年前、裁判官の夫を自死で亡くしました。夫は闘病生活からうつ病を発症し、ある日私のいる自宅で首をつり、その後夫の意識は戻らないまま、約3カ月後に亡くなりました・・・。今でも、私の発見がもう少し早ければとの後悔の思いが消えることはありません。その後悔と自責の念に苦しんでいますが、夫との約束、そして子どもたちや友人たちが支えてくれたおかげで、私は司法試験に挑むことができ、今は弁護士として活動しています。

 私は、夫を自死で亡くした経験から、自死は追い込まれた末の死であり、本人は生きたいのにどうしようもなくなって死んだのだと思っています。

 遺族の方の思いもいろいろですが、その置かれた状況によって様々な問題が発生するので、遺族の方は誰しも悩み、苦しみます。あまりの突然の出来事に戸惑い、何をどうしたらいいのか、わからなくなることさえあります。その苦しい状況の中で、遺族の方は、葬儀や公的な手続きのみならず、保険や相続関係の手続きなどもしなければなりません。それだけでも遺族の方には負担なのに、自死であるという理由で、手続きが円滑に進まないこともあります。私の場合、今思い返せば、夫の死が自死であることから、生命保険の入院保険部分がもらえなかったような気がします。あの時、弁護士に相談していればと後悔しています。

 弁護士の仕事は、交渉や訴訟だけではありません。遺族の方が置かれている状況に応じて、どのような法的な問題があり、どのように対処すべきか、アドバイスすることも大切な仕事です。遺族の方の中には、「何をどう相談していいのかわからないし、どうしたらいいのかわからないけど、先生だけが頼りなんです」と相談に訪れる方もいらっしゃいます。私は、いつも、「まずは、お話を聞かせてください」と言って、その方の抱える問題や背景事情などを伺うようにしています。相談を通して、遺族の方も何が問題で、その問題点についてはどう考えるべきか、少しずつわかってきます。そして、遺族の方の負担とならないよう、時効など差し迫った事情がない場合は、遺族の方にはゆっくり考えてもらうよう心がけていますし、できる限りのアドバイスをしています。

 私も、同じ自死遺族なので、これ以上遺族の方に悩みや苦しみを抱えてほしくないと思いながら、遺族の方の思いを大切に、相談や交渉などを行っています。

 まずは、遠慮なく、メールやお電話でご相談ください。私たち弁護団は、遺族の方に寄り添って相談を受けることをお約束します。