団体信用生命保険のおおまかな説明

当弁護団において、生命保険の問題については、HPに記載がありますが、団体信用生命保険について特化して説明いたします。

1 団信とは

団体信用生命保険(以下「団信」といいます。)とは、生命保険の一種で、住宅ローンの契約者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に、保険金によってローンの残りの債務が返済されるものです。

団信は、住宅ローンの融資の条件にされている場合が多く、住宅ローンを借り入れる際に、一緒に契約することが多いです。

団信の保険料は、住宅ローンの金融機関が負担しますが、その保険料相当額を含む形で金利を設定している場合が多いです。

2 団信の免責期間

団信は、規約に保障の開始日から1年以内に自死された場合には、残債が弁済されないと定められている契約が存在します。

(例)

住宅金融支援機構の団信

フラット35の団信

生命保険は、保障の開始日から3年以内に自死された場合には、保険給付を行わないとする自殺免責特約が定められていることが多いです。

団信も生命保険であるにもかかわらず、自殺免責特約の免責期間が短く設定されている契約があるのは、生命保険に比べて、団信の場合には、自分の抱えた債務を相殺する目的で団信に加入する行動はとられにくいことが理由かと考えられます。

ですので、団信の場合には、免責期間が1年と定められている場合がありますので、団信の規約をご確認ください。

3 告知義務

団信においても、一般的な生命保険と同様、持病や既往歴など健康状態に関する告知を行う義務があります。もし、告知した内容と事実が異なる場合には、団信の契約が解除され、残りの債務が返済されない場合がございます。

告知義務違反による解除権は、保険会社等が告知義務違反を知った時から1ヶ月又は保険契約を締結した時から5年を経過したときには、消滅します(保険法55条4項)。

住宅ローンの契約者が告知した内容と事実が異なる場合にも、上記期間が経過した場合には、団信によって残りの債務が返済されることもあります。

4 免責期間内の自死

団信の契約をして1年も経たず自死された場合には、免責期間内の自死であるため、団信がおりないと思われるかと思います。

しかし、免責期間内の自死であっても、自由な意思決定能力を喪失ないし著しく減弱させた状態で自死に及んだ場合には、保険会社等は免責されず、団信などの生命保険に基づく保険給付がなされます。

 以上のように、自死遺族の方で、団信で残債が支払われないかもしれないとお悩みの方は、当弁護団にご相談ください。