生きづらい社会を生きるわたしたち

 京都で、弁護士をしております高橋良太と申します。

 弁護士になる前から、社会問題としての自死に関心がありました。

 日本では、毎年、多くの方が自死で亡くなっています。自死は精神疾患により自死をせざるを得ない状況に追い込まれて亡くなられる場合が多く、このように追い込まれる背景には長時間労働、パワーハラスメント、いじめ、貧困など多様な社会的・経済的問題がある場合が多いです。

 自死というのは、単なる個人の気持ちの問題ではなく病気(精神疾患)の問題であり、そして、単なる個人の問題ではなく社会的・経済的問題が背景にあると考えています。

 しかし、日本では、個人の気持ち等の問題と考えるような風潮がまだまだあり、個人一人に問題を抱え込ませてしまう風潮があると感じています。また、精神疾患に対する偏見もまだ多く存在しているのではないかと感じています。精神疾患を抱える人にとってはとても生きづらい社会です。

 このような問題が少しずつでも日本から解消されていかない限り、毎年、多くの方が自死に追い込まれる生きづらい社会は変わっていかないのではないかという思いを強くもっています。

 そして、多くの方が自死されるということは、多くの方が大切な方を亡くされるということです。大切な人を失った痛切な悲しみや喪失感、無念さは言葉にもできないような、胸が張り裂けるような辛い思いだと思います。亡くなられた大切な方を忘れることなく、辛さや悲しみや喪失感など様々な感情が入り乱れ、心をすり減らしながらも日々を過ごしている方もたくさんおられると思います。

 しかし、そのような心が摩耗した自死遺族などにも様々な問題が降りかかってきます。弁護士にできることは、そのような問題を整理し、解決することだと思います。少しでもお力添えをできればと思い、私も自死遺族支援弁護団での活動をさせて頂いております。

 このような活動を続けながらも、生きづらい社会が少しずつでも変わっていくように微力ながら様々な活動をしていきたいなと考えています。