マンションから飛び降りて自死した事案において、落下地点付近にいた歩行者から損害賠償請求をうけたものの、大幅に減額して示談を成立させた事例

法的手続の内容

 故人がマンションから飛び降りて自死した際に、落下地点の至近距離で落下した状況を目撃した大学生から損害賠償を請求されたご遺族から相談がありました。

 相手方の通知書を確認すると、至近距離で落下した状況を目撃したことから、PTSDを発症したことを前提に損害賠償を請求するものでした。

 私たちとしては、確かに至近距離で落下した状況を目撃すればPTSDを発症することもあり得るものと考えましたが、まずは具体的に目撃した位置や距離、落下の状況などについて確認し、PTSDを発症するに至るまでのカルテの提供など客観的な資料を求めました。すると、目撃状況について曖昧な回答しかなされず、カルテの記載からもPTSDの症状が認められるのか、本件を原因として発症しているのかを明確に確認することができませんでした。

 そこで、裁判になった場合にはこれだけの立証では不十分であることを前提に、およそ相手方が請求する金額が認められる可能性が低いため、当方から支払うことができる解決金を提示したところ、相手方が了承し、示談が成立しました。

法的手続を終えて

ご遺族からは、当初故人が損害を与えたことを前提に支払いもやむを得ないのではないかという姿勢で相談がありました。しかし、弁護士は裁判になったらどのような結論になるのかという観点から検討しますので、そのような観点で相手方に対して資料や根拠を確認することが重要であることを実感しました。