新築物件の所有者から、通行人が完成間近の当該物件から飛び降りて当該物件に隣接する道路上で亡くなったことについて、その通行人のご遺族の方が多額の損害賠償を請求された事例

法的手続の内容

 通行人が完成間近の新築物件から隣接する道路上に飛び降りて亡くなったことについて、新築物件の所有者の代理人弁護士から、通行人のご遺族の方に対し、新築物件の価値が下落したとして、多額の損害賠償を請求されました。

 通行人には、相続財産がありましたが、その相続財産の金銭的価値は所有者が主張する損害請求の額には遠く及ばないものでした。

 ご遺族の方としては、新築物件の所有者の方にはご迷惑をおかけしたので、その相続財産から葬儀費用等を差し引いた金額の範囲内(少額の金額)であれば、お支払いをしたいとの意向でした。

 そこで、示談交渉がどうなるかはわからないので、まず相続の承認または放棄の期間伸長の申立を行い、その一方で、新築物件の所有者の代理人弁護士と交渉し、その通行人の相続財産についてすべて開示したうえで、ご遺族の方の意向をお伝えし、その意向に応じていただけないのであれば、相続放棄手続きを行うということで、交渉をしました。

 その結果、新築物件の所有者とは、ご遺族の方の意向に沿った内容で示談することができました。

法的手続を終えて

ご遺族の方が相続放棄をすると、所有者側としては、相続財産管理人の選任を申し立て、その手続きの中で損害賠償を求めることになるため、ますます紛争が長期化することを懸念したと思われ、ご遺族の方の意向に沿った形での示談内容で早期に解決することができました。そもそも、所有者からの損害賠償請求が認められない可能性も十分にあると考えていましたが、ご遺族の方の意向を最優先に示談交渉を進めさせていただきました。

自死遺族が直面する
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