法的手続の内容
故人は精神科や心療内科の通院歴はなかったものの、食事中に食器が歯に当たったことをきっかけとして歯痛を自覚しはじめ、その後、神経の抜去、歯根切除術、抜歯、インプラント手術などの治療を受けたものの痛みは改善せず、さらには歯痛以外にも首や喉の痛み、呼吸苦を訴えるようになり、整形外科や耳鼻咽喉科などへの通院を行うようになりました。
故人に病識があったかは不明ですが、「咽頭痛や呼吸困難」を訴えて受診したクリニックにおいて、「うつ病」や「身体表現性障害」等の診断が下されていました。
弁護団は、熟慮期間の伸長を行いつつ、故人が、本件自死当時、うつ病に加えて、重症の身体表現性障害に起因すると考えられる歯部や頚部の強い痛みが改善しないことによる絶望感の影響下にあったとして、責任無能力を主張しました。
その結果、鉄道会社は、ご遺族に対して、損害賠償請求を放棄するとの回答を行いました。
法的手続を終えて
精神科や心療内科の通院歴がない事案で、責任無能力をどの様に主張していくかがポイントでした。ご遺族の説明では不可解な歯科への通院歴が中心で、当初は自死直前の混乱状態までの道筋が見えなかったのですが、その後、健康保険の利用履歴などから通院先、通院回数、通院頻度等が明らかになるにつれ、ご遺族の説明と自分の理解とがつながりだし、具体的なイメージを持てるようになりました。「難しいのではないか」と考えるよりも先に、様々な角度から証拠や法律構成を検討し、粘り強く向き合うことが大切だと実感しました。
事件解決後、ご遺族からは、相談の際に「(故人の訴えていた痛みについて)本当に痛みに苦しんでいたと思う。」と共感を示されたことが弁護団への依頼の決め手であったと伺いました。故人の立場や苦しみを想像しながらご相談を伺うことの重要性を再認識させられるお言葉でした。
自死遺族が直面する
様々な法律問題について、
下記でさらに詳しい解説をしています。