教員の過酷な労働環境改善が急務

 文科省が、教員不足に関する調査結果を公表しました。同調査によると、予定どおりの教員配置ができなかった公立の小中高と特別支援学校は、2021年5月1日時点で全体の約5%にあたる1591校あり、計2065人の欠員があったとのことです。各教育委員会は、採用試験の年齢制限撤廃や人材バンクの活用などの対策を行っていますが、教員確保には、教員の労働環境を改善し、教員を魅力ある仕事にすることが不可欠であるとされています。
⇒2022年2月4日朝日新聞
 同じく文科省の調査では、2020年度に精神疾患にり患して休職した教職員が、5180人に上ることも明らかになっています。

 私の母も教員でした。子供のころ、母は、勤務先から帰宅後大急ぎで子どもたちに夕食を作り、自分は食べる時間もなく家庭訪問に出かけて行っていました。母が、朝4時頃に起きてプリントを作成して授業の予習をしていたこと、土日祝日にも部活動のためよく学校に出かけていたこと、母が家にいない間、祖母に面倒を見てもらっていたこともよく覚えています。
 また、教員になった友人からは、働く以外のことは何もできない、時間も気力もなくて家事も遊びもできない、という話を聞きます。

 当弁護団にも自死された教員の方のご遺族から多くの相談があります。
 夢や希望をもって教員になった方が、その熱意、まじめさで職務に真摯に取り組み、精神疾患にり患してしまう、というケースが多すぎると感じます。まさに、「やりがい搾取」な現状で、許されるものではありません。また、教員に時間的、精神的余力がないと、生徒に十分向き合うことができず、適切な教育ができない環境を導くおそれがあります。教員の過酷な労働環境は、生徒、その保護者の立場からしても、喫緊に解決すべき課題です。

 近年、教員の過酷な労働環境が問題視され、報道されるようになってきました。教員の働き方改革のため、下呂市の中学校では、部活動の終了時刻を切り上げ、生徒の最終下校時間を午後4時半に統一したとのことです。 
 ⇒2022年2月2日中日新聞
 教員が追い詰められず、心に余裕をもって勤務できるようになるためにも、生徒たちが充実した質の高い教育を受けられるようになるためにも、教員の労働環境改善が早急に実現されることを望みます。

教員の長時間労働

 初めまして、大阪で弁護士をしております吉留慧(よしどめさとし)と申します。

 昨年この弁護団に加入して、現在2件の自死に関する案件を担当しておりますが、そのどちらもが若い教員の自死の事件です。

 教員の長時間労働が社会問題化して以降、2017年6月に文部科学大臣からの諮問を受け,中央教育審議会に設置された「学校における働き方改革特別部会」は,2019年1月25日に,「新しい時代の教育に向けた 持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」との答申を公表し,その後、これを踏まえ,同年12月には,「勤務」時間の上限規制の指針を定めるとともに,1年単位の変形労働時間制の導入を可能とする法改正がなされるに至っています。

 しかしながら、この変形労働時間制は大きな問題を抱える制度であり(詳しくはまたどこかで書きたいと思います。)、教員の労働時間の短縮化は一向に先が見えません。

 私が担当している事件の先生は、子どもが好きで、子どもと関わることが好きで教員になられた方でした。そのような方が数か月、数年の内に自ら命を絶つという状況まで追い込まれ、自死に至ってしまう。そのような状況が常態化してしまっています。

 私は、担当している事件の被災者、ご遺族の為に全力で事件に取り組むことで、今後の教員の労度環境の改善に資することができるよう微力ながら尽力していきたいと思っています。