ヤングケアラーについて

 借金のご相談にこられた20代の女性。よくお話を聞いてみると、最近、報道でよく見かけるようになったヤングケアラーでした。夫婦関係の不和が元で、お母さんが全身に痛みが現れる難病にかかり、しかもそれが難病指定されていない難病ということで、彼女が中学生の頃からお母さんの全身をマッサージするほか、料理、洗濯、掃除など家事全般を担わなければならなかったそうです。

 その上、お母さんやお兄さんから、「できそこない。ポンコツ。」などの暴言や暴力を受け、精神的に疲れ、不登校になったそうです。

 お母さんが服毒自死未遂を起こしたり、彼女がお母さんから暴力を受けて大けがを負うなどし、家を出たいと思い続けてきたそうです。

 それでも、コンビニエンスストアやホームセンターでレジ業務のアルバイトに就くなど頑張ってきましたが、家族の暴言がひどくなり、彼女の体調は悪化し、携帯電話も利用料滞納で電話ができなくなり、コンビニエンスストアの駐車場で、コンビニのWIFIを使って携帯電話で「もうだめだ。もう無理だ。」と検索したところ、よりそいホットラインの電話番号の案内サイトにたどりつき、そこから地元の緊急一時宿泊所を案内され、安心できるシェルターで保護されました。現在は、生活保護を受けながらアパートで生活しておられ、少し落ち着いたので借金について相談されることになりました。

 生活保護申請に際し、福祉事務所のケースワーカーが家族への扶養照会を言ってきたので、支援団体が虐待加害者への扶養照会などとんでもないと強く抗議し、照会はされないことになりました。

 長い間、とても精神的にストレスフルな環境で生活してこられたので、借金整理の手続きについても、これまでの思いなどについてゆっくり時間をかけてお聞きしています。弁護士というよりカウンセリングみたいな感じです。支援者にちゃんとつながって本当に良かったと思います。この原稿を書きながら試しに「もうだめだ。もう無理だ。」と検索してみたところ、彼女が話していたとおり、よりそいほっとラインの電話番号の案内サイトにたどりつきました。この自死遺族対策弁護団のブログも、突然の出来事にどうしてよいかわからない遺族の方等に少しでも寄り添えればという思いでリレートークしています。