夫の自死が住宅ローンの団体信用保険の自殺免責期間内であったため、保険金の支払いを拒否されたご遺族からの依頼を受けて、夫が生前通院していたメンタルクリニックの医師と面談し、「重症うつ病により意思決定能力が著しく障害されていた」との意見を聴取して、保険会社に請求書とともに、医学的知見を記載した文書を送付して、保険金を勝ち取った事例

法的手続の内容

 ご遺族は夫が亡くなった後、住宅ローンの団体信用保険金の請求をしようとしたところ、窓口で自殺免責期間内の自死であるため無理だと言われて、請求手続をしないままにしていました。

 ご遺族が私達に依頼したのは労災保険申請手続で、当初は団体信用保険金についてのお話を私たち弁護士はお聞きしていませんでしたが、労災保険申請の準備を進める中で、「保険金は問題なく支払いがありましたか?」とお尋ねすると、「実は…」と団体信用保険金が支払われないままになっているお話が出てきました。

 そこで、私たち弁護士は、亡くなった夫が通院していたメンタルクリニックを訪問し、「重症うつ病によって意思決定能力が著しく障害されていた」という医師の意見を伺い、その内容を医学的意見書にまとめ、その意見書と一緒に団体信用保険金の支払い請求手続を行いました。すると保険会社から、保険金を支払う旨の連絡がきて、保険金が無事支払われました。また、会社は夫の時間外労働時間について残業代を支払っていなかったので、支払いを求めましたが、拒否しました。そこで、労働審判の後、訴訟を提起し、控訴審が終結してようやく数百万円の残業代金が支払われました。

法的手続を終えて

残念ながら労災保険は不支給決定で、裁判でも不支給決定を覆せなかったのですが、団体信用保険の支給の方は受けられたのでほっとしました。ご遺族にはお子様が二人いらっしゃり、夫を急に亡くされて、今後の生活に不安を抱えられていましたので、団体信用保険金と未払いの残業代の支払いを受けることで、経済的な負担を軽くできたことには意義があったと思います。

自死遺族が直面する
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