インターネット・SNS等におけるいじめ

1 当弁護団でご相談やご依頼を受けている事件でも、また弁護団員が弁護団外で対応している事件でも、いじめのご相談を多く受けておりますが、最近はLINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのインターネットやSNS等においていじめが行われているケースも多いです。
 特にLINEは現代では連絡手段としてもはや必須ともいえるツールであり、スマートフォンを持っている人であれば小中学生であってもよく利用しているため、そこでのトラブルは自然と多くなっています。

2 グループLINE内でのいじめの場合は、親や教員などに見られにくい空間であるため抑止が効きにくく、また簡単に一人対複数の関係が生まれやすい状況であるため、そもそもいじめが発生しやすい環境です。
 加えて、面白おかしくしたスタンプであれば直接言葉にするよりも罪悪感なく攻撃的な内容のメッセージを送ることができ、さらにそのスタンプに便乗して他の者も同様の内容を送信するなどによりエスカレートしていきやすいという特徴を持っていることから、いじめが重大化しやすいものです。
 さらに、このようなグループLINE内での悪口等からいじめに発展した場合、上記のような特徴だけでなく、教員においても、学校外で生じた事象であるとして積極的に関与しない(あるいは関与すべきでない)と考えている場合が多々あるという問題があり、その結果、いじめの発見の遅れや対応の不十分さなどを招いてしまうことも多いです。

3 先日(令和7年11月21日)、こども家庭庁と文部科学省の共管で設置された「いじめの重大化要因等の分析・検討会議」による分析及び議論の結果が取りまとめられた「いじめの重大化を防ぐための留意事項集」が公表されました。
 その中の「いじめの重大化につながり得る要素・特徴」の項目においても、「インターネット・SNSにおけるいじめ」が挙げられており(45頁)、やはりインターネットやSNSではいじめが発生しやすいだけでなく、重大化しやすいことが明記されています。
  上記留意事項集では、実際のいじめ重大事態調査の報告書から読み取れた重大化のプロセスも記載されていますが、やはりSNS上のいじめは様々な要素からエスカレートしやすいこと等の特徴や学校が適切な対応を行わなかったことなどから、いじめが重大化したケースの存在が挙げられています。

4 インターネットやSNSにおけるいじめを発見した場合などには、上記のように重大化しやすく、また教員の対応も不十分になりやすいという問題があるという意識を持った上で、「いじめの重大化を防ぐための留意事項集」の記載なども踏まえていじめ解消への対応に当たる必要があります。
 そして、いじめの解消のためには、言うまでもなく教員による調査や指導が不可欠です。したがって、学校外で生じた事象であることを理由に調査や指導等の対応を行わない教員に対しては、学校外で生じた事象(グループLINE内でのからかいや暴言等)がきっかけであったとしても、その事象により児童・生徒間の関係がこじれ、クラスや学校内でも人間関係等に問題が生じているのであれば、教員としてその解消等に努める必要があり、ましてやいじめが生じているのであればいじめ防止対策推進法等に沿った対応が必要となることを教員に理解してもらう必要があります。

 当弁護団の弁護士には、いじめによりお子様などが自死された事案に対応することはもちろんのこと、普段から学校や教育委員会などと関わっている弁護士もいるため、上記のような重要な点を学校現場に周知する取組みも引き続き行ってまいります。
 このような活動の中で蓄積されたノウハウ等が弁護団内には集積していますので、いじめによる自死等の際にはお気軽にご相談ください。
 なお、「いじめの重大化を防ぐための留意事項集」には、その他にも「いじめの重大化を防ぐための対応」や「いじめの重大化につながり得る要素・特徴」などがまとめられていますので、いじめ問題への対応にあたってはご参照いただければと思います。

>> 解決までの流れ「子どもの自死(自殺)の場合」はこちら

弁護団で共同受任することの意味

 弁護団事件の場合、他の事務所の弁護士と共同受任することが少なくありません。

 弁護士が複数名関わることのメリットは、役割を分担・経験を共有しながら方針を決定してより良い解決につなげることが可能になるということです。

 他方、共同受任することのデメリットは何だろう、と少し考えたのですが、特に思い当たりませんでした。
  「弁護士費用が2人分かかるのでは?」という質問も時々寄せられますが、そのようなことはありません。その意味で、相談者・依頼者の立場からみても、複数受任体制にはメリットが大きいと思います。

 また、自死遺族支援弁護団に所属する弁護士の事務所は、いくつかの地域に点在していますから、依頼者と対面で打ち合わせをしたり、現地調査をしたりする場合は、地理的関係を踏まえて共同受任し、依頼者と距離の近いところで仕事をしている弁護士が対応することが可能です。

 ちなみに、事務所によっては、どんな事件でも、作成する文書には事務所所属の弁護士全員の名前を代理人として表示するようなところもあるようです。そのような文書を受け取った方が「こんなにたくさんの弁護士の名前が書かれていて、とても怖かった」「大変なことになった」等と、不安な気持ちを抱かれて相談にいらっしゃることもあります。
 しかし、一つの事件に対して常に全員が打ち合わせに参加するということは現実的にはあり得ず、実質的に関われるのはやはり2~3名でしょう。
 弁護士名が多く表示された文書が届いたからといって、殊更不安になる必要はないと思います。

 最後に、自死遺族支援弁護団では、過労自死の事件を代表として、複雑困難な事件については共同受任することを原則としています。相談する弁護士に迷っている場合、共同受任体制を組んでいるかどうかも一つの考慮要素とされるといいかもしれません。

子どもの自死について公正・公平な調査を進めるために

1 はじめに

 子どもの自死が発生した場合には、必ず「背景調査」を行われなければなりません(詳しくは、「子どもの自死(自殺)」)。
「背景調査」に関しては、文部科学省から「子どもの自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)以下「指針」といいます。」(2014年7月改訂)が公表されており、この指針に基づいて実施されるべきです。

 また、いじめが背景に疑われる場合には、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に該当するものとしていじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(2024年8月改訂)以下「ガイドライン」といいます。)に基づいた調査が実施されるべきです。
詳細調査は、学校又は学校の設置者(公立学校の場合は自治体の教育委員会、私立の場合は法人)の主導で行うことになります。

 しかし、学校や学校の設置者といえども、その責任を追及される恐れがあるため、必ずしも公平・公正に調査が行われているとは限らず、実際には、この指針やガイドラインに即した調査がなされていない相談が多く寄せられています。

 そこで、以下では、公正・公平な調査を進めるために、ご遺族に知っておいていただきたいことを解説します。

2 「基本調査」「詳細調査」の実施を要望する

 子どもの自死が発生した場合には、全件、数日以内に「基本調査」を行わなければなりません。この「基本調査」は、迅速性が要求されることから、学校が調査を実施していくことが想定されています。

 また基本調査を実施後に、学校生活に関する要素が背景に疑われる場合や遺族の要望がある場合などには「詳細調査」に移行する必要があります。

 ところが、この「基本調査」すら学校で実施されたかどうか分からない、詳細調査に移行してくれない、という相談も寄せられています。

 そこで、子どもの自死が発生した場合に、遺族としては、速やかに学校に対して基本調査が実施されたのか確認を求め、実施されていないのであれば「基本調査」を行うように要望しましょう。また、「詳細調査」も遺族の要望があれば実施する必要がありますので、「詳細調査」を希望する場合には、明確に学校や学校の設置者である教育委員会に求めましょう。

3 「第三者」による詳細調査を要望する

 「基本調査」は学校が主体となることが想定されています。
これに対して、「詳細調査」は、弁護士や、精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家等の専門的知識を有する者で、「当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)」による調査組織を構成し、調査を進めていく必要があります。

 また、指針にも「自殺が起こってしまった後、学校は様々な対応が必要となることから、特に公立学校における調査の主体は、特別の事情がない限り、学校ではなく、学校の設置者とする」ということが記載されています。

 いじめ自死事案の調査を進めるにあたって、基本的に、学校関係者は、実際にいじめを認識していたのか、学校生活において子どもに様子の変化はなかったのかなどを「調査される側」であって、「調査を行う側」ではありません。

 にもかかわらず、「詳細調査」が学校関係者のみで行われていたり、あるいは学校関係者が中心となって進められているような場合には、いじめの事実や当該児童がいじめを悩んでいた事実などの学校に都合の悪い事実を十分に調査せずに、公正な調査がされない恐れがあります。

 このような調査が進められている場合には、当弁護団までご相談をお寄せください。

4 調査してもらいたい内容を要望する

 第三者の調査委員が選任されれば、本格的に調査が開始されます。しかし、第三者の調査委員は、亡くなった子どものことも当該事案のことも知らない状態で調査を開始することになります。調査委員の中で、必要な情報の収集を進めていきますが、遺族しか知らない情報もあるため、そのような情報は積極的に提供していくことが必要です。

 また、遺族から調査してもらいたい内容、聴き取りをしてもらいたい生徒、先生がいる場合には積極的に申し出ていくことが必要となります。

5 調査計画や調査の進捗を確認する

 当弁護団には、調査委員会が立ち上がり、調査が開始されたものの、その後長期間、報告もなく、どうなっているのか分からない、といった相談も寄せられています。

 「詳細調査」は、多くの情報を整理し、多くの関係者に聴き取りを行うため、調査報告書が完成するまで、非常に時間がかかります。

 しかし、子どもの同級生が卒業を間近に控えていたり、受験生となり聴き取りが難しくなるなどの事情がある場合には、調査の優先順位を検討し、計画的に子どもに対して聴き取りを実施していくことが重要となっていきます。

 仮に同級生が卒業してしまうと、時間の経過とともに記憶が薄れていくだけでなく、聞き取り調査のために連絡を取ることも困難となります。また、あくまで聴き取り調査は任意なので、新しい生活環境になってトラブルに巻き込まれたくないという思いから調査に協力してもらうことが困難ということも少なくありません。

 したがって、可能な限り迅速に計画的に調査を進めていくことが重要となります。

 また、調査委員会が定期的に開催されているため、調査委員会で何が行われたのか、どのようなことが検討されているのか、という進捗確認を行っていくことも重要です。指針にも「調査期間が長期に及ぶ場合には、・・保護者にも中間報告が必要である」ということが記載されていますので、進捗が気になる場合には報告を求めるようにしましょう。

6 終わりに

 子どもを突然失ったご遺族は、大きなショック、悲しみ、動揺などのために、どうすればよいのか分からず、全てを学校や教育委員会に委ねてしまうことも少なくありません。

 しかし、残念ながら、現状では必ずしも背景調査は、指針やガイドラインに基づいて実施されていないものもあります。

 ここでの調査は、その後の災害共済給付の請求手続きや損害賠償請求の際にも重要な資料となりますので、適切な調査を進めていくことが必要となります。

 子どもの自死が発生してどうしたらよいか分からない、調査がきちんと進んでいるのか確認したいなど少しでも気になることがあれば、当弁護団にお気軽にご相談をお寄せください。

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AIと自死の問題

 2025年1月6日に「SNSの影響と自死」という記事を書きました。それに関連し、今回の記事では、生成AIの活用と自死について法的観点から考察してみたいと思います。

 近年、AI(人工知能)は、私たちの生活に深く入り込んでいます。チャットボットや生成AI、SNS上の自動応答サービスなどを通じて、悩みや孤独を抱えた人がAIに相談することも増えてきました。

 実際、「気軽に相談できる相手」として「対話型AI」と答えた人が87%に上り、親友(約50%)や母親(約45%)を大きく上回ったという調査結果もあります(株式会社Awarefy「対話型生成AIの使用に関するアンケート調査」参照)。

 一方で、「AIとのやり取りが自死につながったのではないか」ということが、海外では現実の問題として提起されています。

1 米国での動き

 2025年8月、米カリフォルニア州で16歳の少年が自死した事件をめぐり、両親がOpenAIを提訴しました。訴状では、ChatGPTが自殺方法の助言や遺書作成を支援し、死を肯定するような応答をしたと主張されています(2025年8月26日付 Reuters報道参照)。

 また、フロリダ州で14歳の少年が自死した事件については、母親が対話型AI「Character.AI」の運営企業を提訴しました。報道によれば、少年は特定のAIキャラクターとのやり取りに強く依存し、現実との境界が曖昧になり、自死の決断を後押しされたと原告は主張しています。原告は、運営企業が未成年者の利用リスクを軽視し、安全設計や注意義務を怠ったと訴えています(2025年2月7日付 AP News報道参照)。

 こうした事例を受け、米国ではAI規制の動きがあります。カリフォルニア州では、AIが自らをAIであると明示することを義務づける法案が可決されたという報道がありました(The Verge,2024年10月報道参照)。

 また、未成年者による利用に関しては、自殺リスクを検知し専門機関につなぐ仕組みが必要との議論が進んでおり、企業側もペアレンタルコントロールや危機応答機能の導入を発表しています(Washington Post,2025年9月2日報道)。

 さらに、全米44州の検事総長が連名で「AIが子どもに害を与えた場合には法的責任を問う」とAI企業に警告しました(New York Post,2025年8月報道)。

2 日本への示唆

 日本でも、生成AIが急速に普及する中で、若年者がAIを相談相手としたり、強く依存したりする事例が増える可能性があります。しかし現時点では、AIの応答内容に関する安全基準や責任の所在は明確ではなく、万一、AIとの対話が自死など人の生命身体にかかわる重大な結果に結びついた可能性があるケースの場合、法的観点からは、企業側の注意義務違反の内容や、サービスと結果との間の因果関係など様々な課題があります。

 日本でも子どもの自死が深刻化している現状を踏まえると、未成年者が安心して生成AIを利用できるよう、危険検知機能や自殺予防機能といった事前の対策に関する議論が求められます。他方で、ご遺族支援における法的観点からは、これまでと同様に、自死の背景にあった人間関係、労働問題、金銭問題といった事実関係を深く調査、検討することが求められることに変わりないものと考えています。

相続人が行方不明の場合の遺産の分割

 相続人の一人が行方不明で困っている、とご相談を受けることがあります。警察庁によると、令和6年の行方不明者数(警察に行方不明者届がだされた者の延べ人数)は、8万2563人もいます。

 ご親族が亡くなり、法律で決められた相続人が複数いて遺言がなかった場合、遺産分割をしますが、遺産分割は、法定相続人の全員の話し合いによって行います。法定相続人の内のどなたかが行方不明の場合、どうしたらいいでしょうか。

1 まずは、戸籍の附票をたどって、行方不明の方の今の住所を調べます。戸籍の附票は、新しく戸籍を作った時以降の住民票の移り変わりを記録したもので、本籍地の市区町村で取ることができます。

住民票上の住所に住んでいればよいのですが、住民票上の住所にいなくて行方不明のことがあります。住民票上の住所に実際に住んでいないと、市区町村長によって、住民票が職権で消除されることもあります。

2 次に、不在者財産管理人(民法25条1項)を選任するという方法があります。裁判所に申立をして選任してもらうと、不在者財産管理人が、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の許可をもらった上で、不在者に代わって遺産分割をすることができます。

 ただ、不在者に十分な財産がない場合は、家庭裁判所から申立時に予納金を納めるよう求められ、数十万円かかります。また、申立資料の準備、選任には時間がかかります。

3 行方不明の方の最後の住所を住所地とした上で、家庭裁判所に遺産分割審判の申し立てをし、公示送達をしてもらう、という方法もあります。

 公示送達とは、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に提示する方法で行われます(民事訴訟法111条1項本文)。裁判所に行くと、裁判所の入口付近にガラス張りの掲示ケースがありますが、その中の掲示板に掲示されています。

 提示を始めた日から2週間が経過すると、相手に対して送達したものとみなす公示送達の効力が生じます(民事訴訟法112条1項本文)。

 公示送達で送達した場合の審判は、行方不明の相続人の法定相続分は、行方不明の相続人に遺す審判結果となります。

4 行方不明の相続人について、失踪宣告(民法30条)を家庭裁判所に申し立てるという手段も考えられます。震災など、死亡原因となりえる危難に遭った人は、危難が去ってから1年間経過しても生死が明らかでない場合(2項)、特別失踪として危難が去った時(民法31条)、生死不明が7年間明らかでない場合(1項)は、7年間経過した時(民法31条)、死亡したものとみなされます。行方不明の相続人は死亡したものとみなされるので、法定相続分を遺しておく必要はありません。

 ただ、実際上失踪宣告が認められるのは、亡くなったことをある程度証拠で示す必要があるようです。

 このように、法定相続人の内のどなたかが行方不明の場合も遺産分割をする方法はあります。迷ったらご相談ください。

最初に何から考えたらいいのか

「どうしたらいいの?」という疑問に対する回答が載せられていますが、ここでは、亡くなられた直後の大まかな流れを説明いたします。

ステップ0:ご自身の心と体を守る

手続きの話の前に、ご自身の心と体の健康が何よりも一番大切なことです。

  • 一人で抱え込まないでください。
     信頼できる親族や友人、あるいは専門の支援団体に、今のお気持ちを話してください。言葉にするだけで、少し楽になるかもしれません。
  • ご自身を責めすぎないでください。
     「あの時こうしていれば」という後悔の念に苛まれるかもしれません。
  • 無理せず、休息をとってください。
    しんどくなったときは、無理に動こうとせず、少しでも心と体を休ませることを優先してください。

ステップ1:直後の手続き

警察の検視・事情聴取

 自死の場合、警察がご遺体を引き取って、検視が行われます。また、警察から自死された方の生活状況などを聞かれる場合があります辛い時間だとは思いますが、聞かれた事実にのみ、落ち着いて答えるように心がけましょう。

 警察から鉄道会社にご遺族の連絡先を伝えてよいかと確認を求められることがあります。鉄道会社から損害賠償請求を受ける可能性があり、ご遺族の情報を鉄道会社に伝えることは控えた方がよいでしょう。少なくともその場で決断せず、弁護士にご相談ください。

死体検案書(死亡診断書)の受け取り

 警察から死体検案書を受け取ります。今後のあらゆる手続きで必要になるため、5通ほどコピーを取っておきましょう。

死亡届の届け出

 死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡者の死亡地、死亡者の本籍地または届出人の住所地の市区町村役場に提出します。このとき、死体検案書が必要です。死亡届を届出することにより「火葬許可証」を受領できます。

ステップ2:プラスの財産とマイナスの財産を把握する

プラスの財産:預金通帳、不動産の権利証、有価証券、生命保険証書などを探します。

 自死された方のスマホが開けられる場合には、メールなどをチェックして、インターネット口座やデジタル資産(暗号通貨)などがないかお調べください。

 現在所有している財産だけでなく、過労や職場のパワーハラスメントにより精神疾患を発病してしまった可能性、いじめの加害者に対する損害賠償請求の可能性などこれから請求する権利についても考慮する必要があります。

マイナスの財産:消費者金融のカードや契約書、住宅ローン残高の通知書、そして「損害賠償請求される可能性」がないかを調べます。

 自宅に届いている請求書などから債務がわかることがあります。信用情報機関であるCICやJICCに自死された方の信用情報の開示を求めることで消費者金融での借り入れやクレジットカードの滞納などが判明する場合もあります。

 住宅ローンについては、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、返済が免除される可能性がありますので確認しましょう。

損害賠償請求を受ける可能性について

  • 鉄道自死の場合
    鉄道会社から、損害賠償を請求される可能性があります。請求内容は、振替輸送費、人件費、車両の修理費などであり、高額になる場合もあります。自死された方が精神的な理由で責任能力がなかったと判断され、損害賠償義務を負わない場合やご遺族の状況なども考慮された結果、減額できる場合もあります。そのため、請求書が届いても、すぐに支払いに応じず、弁護士に相談してください。
  • 賃貸物件で亡くなられた場合
    大家さんや管理会社から、原状回復の費用と「次の借り手が見つからない期間の家賃(逸失利益)を請求される可能性があります。その内容によっては、ご遺族が負担すべきでない費用も含まれている可能性があります。大家さん側の請求があってもすぐに支払いに応じず、弁護士に相談してください。

ステップ3:プラスとマイナス、どちらが多いか

①:(損害賠償請求できる可能性を考慮しても)明らかにマイナスの財産が多い場合

 相続放棄を検討します。相続放棄をすれば、プラスの財産もマイナスの財産も相続しません。被相続人の死亡(相続開始)を知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

 ここで注意すべき点は、自死された方の財産を一切処分しないことです。相続放棄ができなくなる可能性のある行為(例)故人の預貯金を引き出して使う。故人の借金や損害賠償金を、故人の財産から支払う。故人の車や家などを売却したり、自分の名義に変更したりする。ただし、葬儀費用として使った場合には単純承認にはならず、相続放棄できますので領収書は必ず取っておきましょう。

 これらの行為をしてしまったけれども、相続放棄したいという場合にも、ご事情を弁護士に相談してください。

②:3ヶ月で判断できない場合

 ご遺族が死亡した事実を知ってから3ヶ月で相続放棄の判断ができないことは少なくありません。そのような場合には、「相続の熟慮期間の伸長」という手続きがあります。これは、3ヶ月の期限が来る前に家庭裁判所に申立てをすることで、相続をどうするか考える期間を延ばしてもらう制度です。

 財産状況を整理してから、相続するか放棄するかを判断しましょう。

③:(損害賠償請求される可能性を考慮しても)明らかにプラスの財産が多い場合

 単純承認を検討します。何か特別な手続きは必要なく、遺産分割協議など相続手続き行います。

まとめ

 上記の判断をご遺族だけで行うのは、難しいと思います。特に損害賠償請求の妥当性の判断や、相続放棄すべきか、あるいは期間伸長の申立てをするべきかの決断は、法的知識でのアドバイスが必要です。

 あなた一人ですべてを背負う必要はありません。迷われたらぜひご相談ください。

「給付基礎日額」~おかしい、怪しいと思ったら・・・

 過労死、過労自死が認定された際、労災補償額のベースとなるのが、被災者の被災前の賃金額に基づき計算される「給付基礎日額」です。

 この、被災前の賃金額には未払の残業代も含まれます。 そうであるにもかかわらず、労基署は未払の残業代の存在を無視した過少な給付基礎日額認定を行いがちなことは、当ブログの松森弁護士の記事「労災が認定されたら、給付基礎日額が正しいか要確認です」においても取り上げている通りです。

 そもそも、長時間残業による過労死・過労自死を出すような使用者が、事実の通りの労働時間に基づいて、適法に残業代を支払っているケースの方が稀です。莫大な残業代を支払わなければならなくなるからです。

 残業代をごまかす手法は大きく分けて

①本当の労働時間記録を残さない

②違法な賃金体系で残業代をごまかす

の2つです。この①、②を組み合わせている場合もあります。

①本当の労働時間記録を残さない

 この方法につき、ただ単に記録をつけず、労基署の労働時間聴取に対し使用者が口だけで過少な労働時間を述べる、という古典的なパターンもあります。

 しかし、近年の労働時間規制の厳格化に伴い、使用者があらかじめ計画的に虚偽の過少な労働時間記録を用意する、事実に基づく労働時間の証明を妨げる、との悪質な事案に接する機会が増えました。

 日々の労働時間記録(タイムカード、日報など)につき、事実に反する過少な労働時間、存在しない長時間の休憩を記録するよう命じて作成させておく、労働者の監視のために労働時間記録は行なうが労働時間記録の持ち出しや謄写をしたら罰金であるとして労働者の利用を妨げる等の手法です。

②違法な賃金体系

 代表的なものは、

(1)管理監督者だから残業代払わなくてよい

(2)固定残業給だから払った給料に残業代が含まれている

(3)歩合給だから残業代はほとんど発生しない、

というものです。

 しかし、これらの賃金体系はいずれも、労基法上の通常の残業代支払方法の例外として、厳格な要件を満たさなければ許容されません。

 長時間労働による過労死や過労自死が発生するような働かせ方で、例外的な支払い方法が適法とされる場合の方が稀です。

 長時間働いていたのに、残業代の支払いがなかったり、少なすぎておかしいと感じるような実態にあった場合、労働時間のごまかしや、違法な賃金体系が隠れていることが多いです。

 労災が認定された場合でも労基署計算の給付基礎日額は鵜呑みにせず、専門家と共に検討することをお勧めします。

静岡県警事件最高裁判決について

1 はじめに

 最高裁は、令和7年3月7日に過労自殺(自死)に関する損害賠償請求訴訟において2つの重要な判決を下しました(以下「静岡県警事件最高裁判決」といいます。)(※1※2)。

 これらの最高裁判決が過労自殺(自死)の実務に大きな影響を与えることは確実です。様々な論点はあるのですが、私がもっとも大切だと考えるいくつかのポイントについてご説明したいと思います。

2  訴訟の概要

 静岡県警事件最高裁判決は、静岡県警に警部補として勤務していたAさんが過労自殺(自死)した事案について、Aさんの妻子が静岡県に対して損害賠償を請求した訴訟(以下「妻子訴訟」といいます。)と、Aさんのご両親が静岡県に対して損害賠償を請求した訴訟(以下「父母訴訟」といいます。)の2つの訴訟があります。

 広島地裁福山支部は、令和4年7月13日、妻子訴訟と父母訴訟の両方について静岡県の責任を認め、ご遺族勝訴の判決を下しました。

 これに対して、静岡県は広島高裁に控訴しました。すると、広島高裁は、令和5年2月15日、父母訴訟について静岡県の責任を否定し、ご両親敗訴の判決を言い渡しました。しかし、広島高裁は、同月17日、妻子訴訟について静岡県の責任を認め、一審である広島地裁福山支部と同じように妻子勝訴の判決を下しました。

 このように、警察官のAさんが過労自殺(自死)したという客観的な事実は同じなのに、広島高裁は全く逆の2つの判決を下しました。

 そこで、静岡県警事件最高裁判決は、妻子訴訟については広島高裁が正しいと判断し、父母訴訟については広島高裁が間違っていると判断したのです。その結果、妻子訴訟も父母訴訟もご遺族側の勝訴となりました。

3  電通事件最高裁判決との関係

 静岡県警事件最高裁判決を正確に理解するためには、最高裁が平成12年3月24日に下した電通事件最高裁判決(※3)とのつながりを踏まえる必要があります。

 電通事件最高裁判決の最も大切なポイントは、「労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。」と述べたことです。要するに、最高裁は、「働き過ぎて、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、体や心を壊す危険性があることはもう常識です!」とはじめて述べたのです。

 そして、電通事件最高裁判決は、働き過ぎて「疲労や心理的負荷等が過度に蓄積」した結果、うつ病になったり、自殺(自死)に追い込まれたりした時点で対策をとっても遅いので、会社などの使用者が対策をとって回避すべき状態は、うつ病や自殺(自死)といった「結果を生む原因となる危険な状態の発生」であり、予見可能性の対象もこのような「危険な状態の発生」であるという考え方に立っています(※4)。

 もっとも、実際の裁判の実務では、電通事件最高裁判決が出た後も、うつ病や自殺(自死)といった「結果を生む原因となる危険な状態」とは具体的にどんな状態なのか、そのような状態となった時期はいつなのか、会社が行うべき対策をご遺族側と会社側のどちらが特定するのかといった論点が残りました。

 当弁護団が担当した事件でも、裁判官から「職場がどの時期にどんな対策をとればいいのか具体的に特定して下さい。」と指示されたことは何度もあります。もっとも、ご遺族からすると、亡くなったご家族の職場での働きぶりを実際に見ていた訳ではありませんし、職場の人事システムも知らないのですから、過労自殺(自死)を避けるため職場が行うべき対策の時期や具体的内容を特定することは不可能に近いといえます。そして、この特定に失敗して敗訴したことも何度か実際に経験しました。

 このような電通事件最高裁判決後に残されたいくつかの論点について、静岡県警事件最高裁判決は一定の判断を示しました。

4  静岡県警事件最高裁判決の重要ポイント

(1) 第1のポイントは、まず、うつ病や自殺(自死)といった結果が生じる様な危険な状態とはどのレベルの状態なのかについて論じた点にあります。

 最高裁は、Aさんの業務がAさんに「相当程度の疲労や心理的負荷等を蓄積させるもの」であり、このような業務が「精神疾患の発症をもたらし得る過重な業務」と判断しました。つまり、最高裁は、「過度」に疲労や心理的負荷等が蓄積した状態ではなく、その前段階である「相当程度」に疲労や心理的負荷等が蓄積した状態になれば、うつ病や自殺(自死)といった結果が生じる様な危険な状態が発生したと評価しているのだと考えられます。

 その結果、ご遺族側の立証のレベルは、「過度」ではなく、「相当程度」に疲労や心理的負荷等が蓄積した状態まで立証すれば足りるということになりました。過労自殺(自死)の事件の代理人を長年務めてきた弁護士としては、かなり立証のハードルが下がったと感じています。

(2)  第2のポイントは、Aさんの上司は、Aさんから勤務時間などの報告を受けていたことから、「A警部補の従事する業務の具体的な状況を把握し得なかったと解すべき事情はうかがわれない。したがって、A警部補の上司らは、A警部補が客観的にみて精神疾患の発症をもたらし得るような過重な業務に従事していることを認識することができた」と判断した点にあります。

 過労自殺(自死)の損害賠償訴訟では、会社から「そんなに働いているとは知らなかった。」という主張が必ずと言って良いほど行われます。

 しかし、最高裁は、少なくとも労働者が「精神疾患の発症をもたらし得る過重な業務」に従事していた場合は、上司が「業務の具体的な状況を把握し得なかったと解すべき事情」を具体的に立証しない限り、客観的に過重な労働に従事していたことを知り得たと認定すべきという考えに立っていると思います。

 このように、上司がどのような事情を認識または認識し得れば会社が責任を負うかという点について、「そんなに働いているとは知らなかった。」という反論は簡単には通りませんよ、と示した点は実務上大きな意味があると思います。

 (3)  第3のポイントは、少なくとも労働者が「精神疾患の発症をもたらし得る過重な業務」に従事していた場合であれば、遺族側に、うつ病や自殺(自死)といった「結果を生む原因となる危険な状態」が発生した時期や、会社が行うべき具体的な対策の内容などの特定を要求することなく、「A警部補の上司らは、A警部補の業務を適切に調整するなど、その負担を軽減するための措置を講じなければ、A警部補がその心身の健康を損なう事態となり、精神疾患を発症して自殺するに至る可能性があることを認識することができたというべきである。そうであるにもかかわらず、A警部補の上司らは、A警部補の負担を軽減するための具体的な措置を講じていない。」と判断して、静岡県の過失を認めた点にあります。

 特に国家公務員や地方公務員の事件では、予算に限りがありますし、簡単に人を増やすことができません。そのため、国や自治体から「予算ありませんし、人も簡単に採用できないので、業務を軽減したり、人を補充したりすることはできません。ご遺族が主張する対策を行うことは不可能です。」といった主張が行われ、実際に判決でもそのような主張が認められることがありました。しかし、最高裁は、そのような主張を明確に否定しました。そして、民間の場合は、より柔軟に業務量の調整や人員の増員が可能といえますので、当然にそのような主張は認められないでしょう。

 (4)  第4のポイントは、これはかなり専門的な議論なのですが、長時間労働によって過労自殺(自死)が生じた場合、どのような状態を労働時間と評価すべきかという論点について判断を示した点にあります。

 過労自殺(自死)が生じた場合、労働時間の考え方は単純化して大きく分けると、①使用者から仕事をしなさいと命令されたり、仕事をすることを義務づけられたりした時間を労働時間とする考え方と、②心理的負荷によって過労自殺(自死)が生じたのだから、業務によって心理的負荷を受けた時間を労働時間とする考え方の2つの考え方があります。そして、広島高裁の妻子訴訟は②の考え方で、父母訴訟は①の考え方でした。

 ①と②の考え方で大きく判断が分かれる場面は、持ち帰り残業や出張の移動が就業時間の前後に行われた場合です。ここも様々な議論がありますが、単純化すると、①の考え方では、持ち帰り残業は労働者が勝手に持ち帰っているので労働時間ではありませんし、就業時間の前後に行われた出張の移動時間は通常の通勤と同じなので労働時間と評価しません。一方、②の考え方では、持ち帰り残業も就業時間の前後に行われた出張の移動も業務によって心理的負荷を受けるので労働時間として評価します。

 このような対立があったのですが、妻子訴訟の最高裁は、「業務起因性判断の前提となる労働時間(勤務時間)とは、上記労働基準法上の労働時間に限られるものではなく、労働者が、業務のために必要な活動に従事していることが客観的に明らかであるといえるときは、使用者による明示的な時間外勤務命令に基づいているか否かや、使用者の指揮命令下に置かれているか否かといった点を問わず、これを業務起因性判断の前提となる労働時間(勤務時間)として考慮することができる場合があると解すべきである。」とした広島高裁の認定を、「原審の適法に確定した事実関係等」と判断し、海外研修の準備や事前会合の移動時間も労働時間として評価しました。

 このように、専門家の間では争いはあるものの、最高裁は少なくとも②の立場を否定するものではないことを明示した点に大きな意義があると考えます。

 (5)  第5のポイントは、最高裁が父母訴訟の広島高裁の形式的な事実認定を否定した点にあります。個人的な見解ですが、残念ながら、裁判官は能力的にも知性的にも感情的にも急速に劣化していると感じます。もちろん、優秀な裁判官も数多くいますが、頭でっかちで、社会を知らず、自分の地位を守ることだけに関心があるような、ヒラメ裁判官が大量に増殖しているのが現実です(もう個人的にはヒラメ裁判官はChatGPTと交代した方がまともな判断が出るのでは無いかと感じるくらいです。)。 

 過労自殺(自死)事件のヒラメ裁判官の事実認定はワンパターンで単純です。事実をバラバラに分解し、分解したバラバラの事実の心理的負荷は弱いと判断し、弱いバラバラの事実を最後に総合的に判断しても、やっぱり心理的負荷は弱いと判断するのです。

 実は広島高裁の父母訴訟は、このようなヒラメ裁判官の事実認定が行われた結果、ご両親が敗訴しました。

 しかし、最高裁は、そのような形式的な事実認定を否定し、Aさんの立場にたって事実を認定しました。従来の交番長としての業務に新人の指導業務が加わったこと、労働時間がおよそ2倍以上に増加して1か月当たり100時間を超えたこと、14日の連続勤務を2回行ったことなどを認定した上で、「A警部補が自殺直前の時期に行っていた業務は、A警部補に相当程度の疲労や心理的負荷等を蓄積させるものであったということができる。」と認定したのです。

 極めて常識的ですし、一般人の感覚からして素直に受け入れることができる事実認定だと思います。

5  最後に

 静岡県警事件最高裁判決が出た後、当弁護団で受任している過労自殺(自死)の損害賠償請求訴訟でも、最高裁判決を踏まえた主張立証を行いました。

 その結果、比較的短時間で和解したケースも複数見られます。是非当弁護団にご相談下さい。

※1 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/869/093869_hanrei.pdf

※2 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/868/093868_hanrei.pdf

※3 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/222/052222_hanrei.pdf

※4 八木一洋「電通事件/最高裁判例解説」法曹時報52巻9号・362~363頁

2024(令和6)年度の精神障害の労災補償の状況について

 毎年度、厚生労働省から「過労死等の労災補償状況」についての取りまとめが公表されており、令和6年度の統計についても、令和7年6月25日に公表されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html

 かかる取りまとめによれば、精神障害での労災認定の件数が、統計を始めた1983年以来初めて1000件を超えたことが明らかとなっています(支給決定件数1055件、内自殺は88件)。

 件数が増加した要因の一つとして、パワハラ、カスハラの認定件数が増えたことが挙げられます。

 まず、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」いわゆるパワハラですが、令和5年度は157件の認定件数であったものが、令和6年は224件に激増しているということが分かります(ただし、自殺に関しては、令和5年、令和6年どちらも認定件数は10件)。

 次に、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」カスタマーハラスメント、いわゆるカスハラですがが、令和5年が52件であるのに対して、令和6年は108件と倍増(ただし、自殺に関しては、令和5年、6年とも認定は1件)していることが分かります。

 このように、パワハラ・カスハラに起因する精神障害の労災認定が増加している背景としては、令和5年度に認定基準の改正によりパワハラに関する基準が類型化されたことや、カスハラに関する基準が追加されたことが影響していると考えられます。

 パワハラ・カスハラの相談が増加しているのは、日頃から労働相談を受けていている身としても実感します。

 かつては、パワハラ・カスハラの立証が困難という側面がありましたが、最近では、スマートフォンやICレコーダーなどで録音することが比較的容易になりました。最近は、相談者から、「実はこんな音声がありまして…」と録音をお示しいただくことも増えています。実際に録音を聞いてみると、文字起こしを読んでいるだけでは伝わりにくい威圧的な雰囲気が記録されていることもあります。みんなの前ではニコニコ優しく振る舞っている良い上司が、特定の人にだけ恐ろしいハラスメントをしている、そんな録音を聞いたこともあります。

 このように、ハラスメントの実態を把握しやすくなったということが、パワハラ・カスハラを要因とする労災認定が増えた要因と言えるかもしれません。

 上記でも触れたとおり、自殺に至ったケースに限ると、統計上、令和5年、6年の比較ではパワハラ・カスハラを要因とする労災認定件数が増加しているわけではありません。自殺の場合、当人からの証言が得られず、録音等もあるかないかも分からない、という難しさがあることも影響しているでしょう。

 しかし、相談者であるご遺族からは、故人がハラスメントに遭っていたようだ、とのエピソードが出てくることはしょっちゅうあります。自殺案件においても、ハラスメントの事実が適切に認定されるように、録音等の痕跡がどこかに残っていないか、証拠の収集の進め方を含め、今後とも研鑽を積んで参りたいと思います。

9/13(土)12時間無料法律相談会を行います。

 自死遺族支援弁護団では、昨年度に引き続き、2025(令和7)年9月13日(土)昼12時から夜24時までの12時間にわたり、自死遺族の方々を対象に、電話とLINEによる無料法律相談を実施します。

 自死遺族の方々は、取り巻く環境や心理的な問題などにより、なかなか相談できないという状況の中にいます。
 そこで、自死遺族支援弁護団では、12時間いつでも相談に応じることで、自死遺族の方々に「安心して」「昼でも夜でも」「12時間相談したくなったら電話でもLINEでも相談できる」と考えております。
今回の無料法律相談においては、自死遺族支援弁護団に所属する弁護士約10名が12時間電話とLINEで相談に応じることになっております。

 できるだけ多くの自死遺族の方々にご利用いただき、自死遺族の方々が背負っている問題を整理し解決していきたいと考えております。どうぞお気軽にご相談くださいませ。

日時
2025年9月13日(土)昼12:00~夜24:00

<ラインID
@540ifphl

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行政や支援者の方へ

行政のHPやLINEへのチラシの掲載についてご協力をお願いたします。