将来に備えて投資用マンションを2戸購入し住宅ローンを借入れ、団体信用保険に加入していた30代・単身の息子さんが突然、統合失調症を発病し、精神科病院に入院して治療を受け、退院したものの、その直後に自死してしまい、それが団体信用保険の自殺免責期間内であったため、団体信用保険金の支払いを拒否された相続人であるご両親から依頼を受けて、入院時の主治医と面談し、「退院直後で薬を調整中であったため、統合失調症の症状により意思決定能力が著しく障害されていたことによる自死と考えられる」との見解を聴取して、保険会社に当該医学的知見を記載した文書を送付して、保険金の支払いを得られた事例

法的手続の内容

 依頼者は当弁護団のホームページで、自殺免責期間内の自死でも精神障害により意思決定能力が著しく障害されていたことによる自死の場合、保険金が支払われるというブログを読んで、当弁護団に連絡を下さいました。

 息子さんが2戸の投資用マンションを購入されていたので、異なる生命保険会社の団体信用保険契約も2つあり、一方の保険会社のパンフレットには精神障害によって意思決定能力が著しく障害していたことによる自死の場合は自殺免責期間内であっても保険金を支払う旨の記載があり、一方の保険会社のパンフレットにはその旨の記載がありませんでしたから、依頼者は、当初、当該記載のある方の保険会社についてのみ弁護士に相談して来られました。

 私たち弁護士から、「パンフレットに上記のような記載がなくても、精神障害による意思決定能力の障害を立証できれば、保険金は支払われる」とご説明し、2件の団体信用保険の請求について、依頼を受けることになりました。

 弁護士が、退院直後の息子さんの様子をご両親から詳細に聴き取ると、幻覚・妄想等の統合失調症の症状が認められました。そこで、その内容を書面にまとめて、息子さんが入院されていた精神科病院の主治医に見ていただき、「退院したとは言え、未だ統合失調症の症状は強く残っていたのではないですか?」と尋ねたところ、主治医は、「退院直後で薬の量の調整中だったので統合失調症の症状が出たものと考えるのが相当である」と言ってくださいました。

 その主治医の見解を書面にしてそれぞれの保険会社へ請求書とともに提出したところ、いずれの保険会社からも、保険金の支払いを決定するとのお返事をいただくことができました。

法的手続を終えて

実は私たち弁護士が他病院の診療録や過去の通院歴等を調べるなどしている間に、主治医との面談をするまで時間がかかり、主治医との面談のための電話連絡をした時、主治医から、「実は私はもうすぐ今の病院を退職します」と言われ、慌てて面談日を予約し、図らずも主治医がその病院を退職する日にお会いすることができました。主治医が私たちの質問に誠実に回答してくださり、その内容をしっかり引き継いでくださったからこそ、保険会社が保険金を支払う決定を出したのだと思います。
大切な息子さんを亡くされたご両親の悲しみは深く大きいですが、保険金の支払いを受けられたことがせめてもの救いになればと思います。

自死遺族が直面する
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