物資の輸送や備品の管理などを担当する自衛官が、長時間労働に従事した結果、うつ病を発病して自死した事案において、公務災害認定を得た事例

法的手続の内容

 本件は物資の輸送や備品の管理などを担当する自衛官が過労自殺した事案でしたので、まず労働時間や業務内容をどのように立証するかが問題となりました。

 しかし、一般の会社の労働者とは異なり、自衛官は様々な防衛情報に接しており資料などが厳しく管理されているため、ご遺族の手元には労働時間や勤務内容を裏付ける資料は一切残されていませんでした。

 そこで、自衛隊において証拠保全を実施するため、裁判所に対して証拠保全を申立てました。証拠保全の対象は自衛隊の公文書ですので、対象の公文書に防衛機密などが入らないように工夫しました。その結果、無事、証拠保全が実施され、パソコンのログや鍵の受け渡し簿などを入手することができ、長時間労働であることが確認出来ました。また、仕事量が多く、同じ班の自衛隊員が複数メンタルダウンしていることも確認することができました。

 これらの情報を踏まえて公務災害の認定の申出を行ったところ、公務災害の認定を受けることができました。

法的手続を終えて

自衛官は様々な業務に従事しており、戦闘に従事する自衛官のみならず、物資の輸送や備品の管理などを担当する自衛官も多数存在します。しかし、このような後方支援を行う自衛官は数が足りず過重労働になることがあるようです。
また、自衛隊員の労働時間管理は自己申告制であるため、勤務表を入手しても労働時間を正確に把握することができません。本件でも、パソコンのログや鍵の受け渡し簿などを証拠保全で入手できたことから何とか長時間労働を立証することができました。
後方支援の自衛官は、仕事の内容という観点から見ると一般労働者の事務、経理、総務などとほぼ同じですから、もっとタイムカードやログなどによる客観的な労働時間管理が行われるべきだと考えます。

自死遺族が直面する
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