建築メーカーの営業マンが大型ショッピングモールの担当となった後、長時間労働と連続勤務が続く中で納期の遅れなどのトラブルが発生した結果、うつ病を発病して自死した事案において、労災認定を得た後に、会社に対する損害賠償請求も謝罪を受けるなどして解決した事例

法的手続の内容

 営業マンが過労自殺(自死)した事案は、外回りの仕事や直行直帰の日が多いなど、労働時間の把握が難しい事案が少なくありません。

 この事案でも出勤簿は存在したものの、故人の客観的な労働時間を反映しているとはいえませんでした。そこで証拠保全を実施して、出勤簿、営業車のドライブレコーダー、パソコンのログ、建物の入退館記録などを入手して、長時間労働を立証しました。

 労災については、労基署は連続勤務と長時間労働を認定して労災の支給を認めました。

 会社に対して損害賠償を請求したところ、故人やご遺族に対して誠実に向き合おうとする姿勢が見えましたので、交渉によって解決することを目指しました。最終的な合意文書の中には、故人が業務によって死亡したことの確認、会社に対する貢献、謝罪、再発防止とその具体策、社員に対する研修などを内容とする非常に充実したものとなりました。また、会社の代表取締役ら幹部がご遺族に直接謝罪する場を設けることもできました。

法的手続を終えて

会社に対する損害賠償請求を行う際、ご遺族から「会社に謝って欲しい。」というご希望を頂くことがあります。しかし、残念ながら多くの会社は謝罪を行いませんし、損害賠償請求をすると逆に故人が働いていないなどと主張してくることもあります。
本件は会社が故人やご遺族に対して誠実に向き合おうとする姿勢を見せたため交渉による解決を目指し、最終的には非常に充実した和解契約を締結できました。当職の経験でも、このようなレベルの和解は3件しかありません。会社は金銭を支払うだけではなく、もっとご遺族の気持ちに寄り添った解決を目指すべきではないでしょうか。

自死遺族が直面する
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