若手のシステムエンジニア(SE)が長時間労働を行った結果、鉄道の踏切に進入して自死した事案において、労災申請は認められたが、免責期間内であった生命保険の請求は認められず、鉄道会社からの損害賠償請求は任意交渉を行ったがまとまらず、訴訟になり損害賠償額を減額して和解となった事例

法的手続の内容

 まず労災です。当該SEはチームリーダーになったことに伴い長時間労働に従事していました。しかし、遺族の手元に証拠がなかったため、証拠保全手続を行い、当該SEが使用していたPCのログを入手しました。PCログの結果を分析すると時間外労働時間が100時間を超えていたため、労災申請を行いました。労基署段階では労災と認定されなかったものの、審査請求を行った結果、時間外労働が増加したことやPC操作以外の作業や事業場外でのPC操作も労働時間と認められたことにより、労災と認定されました。また、給付基礎日額について不服があったため、これについても審査請求を行ったところ、労基署の計算間違いがあったとのことでこれも認められ、支給額が増額されました。

 次に生命保険です。免責期間内の自死だったのですが、自由な意思決定により自死したのではないとして、遺族が生命保険金の請求を行ったが拒否されました。その後、遺族が訴訟を提起したが、残念ながら棄却されました。

 最後に鉄道問題です。踏切進入による自死であったため、鉄道会社から遺族(相続人)に
対して、損害賠償請求が行われました。遺族側から、鉄道会社に減額を求めたが拒否されました。その後、鉄道会社が遺族に対して訴訟を提起しましたが、鉄道会社の時間外労働時間等を争い、減額された金額で和解が行われました。

法的手続を終えて

3つの問題が絡み合う珍しいケースでした。3つの法的問題があると、遺族のみでは対応できないので、弁護士が介入すべき典型的なケースだと思われます。生命保険は残念な結果でしたが、労災が認められた点や鉄道問題も減額できた点、良かったと思います。

自死遺族が直面する
様々な法律問題について、
下記でさらに詳しい解説をしています。