鉄道会社からの損害賠償請求には人件費が含まれています。しかし、人件費の中には本来含まれるべきではない時間外労働が過大に請求されていることがあります。そこで、受任後、鉄道会社に対して、鉄道事故に関連して職員の時間外労働時間が生じたことを裏付ける資料の提示を求めたところ、鉄道事故によって職員が仕事を余儀なくされた労働時間とその賃金額として、職員の役職毎にまとまった労働時間、賃金額が提示されました。それだけでは実際に職員が労働していたという事実もわからず、また当該時間が「時間外」に該当するかもわからないので、鉄道会社に就業規則・賃金規程、労働実態を裏付ける資料を提出するよう求めました。それでも鉄道会社からは各職員の時間外労働時間を記録した資料だけが提示されました。
各職員の当該労働時間が「時間外」に該当するかが疑わしいので、就業規則・賃金規程を提出するようにと引き続き鉄道会社に求めました。就業規則・賃金規程がなかなか提示されなかったことから、「時間外」ではない労働時間について時間外労働であると誤った主張がなされているものと考えましたが、ようやく提示された就業規則・賃金規程を確認しますと、各職員が働いた時間は確かに「時間外」の労働時間でした。また、各職員が働いた時間は鉄道事故が生じれば、この程度は働くことになってもおかしくないという合理的な範囲でした。 そこで人件費が不当に高いということで交渉するのは困難であると判断し、依頼者が約260万円もの賠償金を支払えないことを示すために、給料明細や銀行口座の写し等の資料を提示し、鉄道会社と賠償金を90万円に減額して示談しました。