女子中学生が小学5年生頃から、2年半以上もの長期にわたって同級生らから執拗ないじめを受け続け、小学校の教員らにいじめ被害を訴え続けていたにもかかわらず、小学校及び中学校の教員らが亡生徒のいじめ被害を放置し続けたことによって、被害女子生徒が自死したことから、その両親が市に対して国家賠償法第1条第1項に基づく損害の賠償を求めて訴訟を提起した事例

法的手続の内容

 被害女子生徒の本件自死については、第三者調査委員会による調査報告書において、いじめの事実の認定に加え、いじめ被害を訴えても解決されない経験を2年間繰り返したことは、大人に援助を求めても無駄であると不信感を強くし、その慢性的ストレスに、学校に対する不信感、徒労感や無力感なども加わり、次第に深いうつ状態になったことで本件自死に至ったと認められました。この調査報告により、独立行政法人日本スポーツ振興センターは、本件自死はいじめが原因であると認め、被害女子生徒の死亡に係り死亡見舞金を両親に支給しました。

 その後、被害女子生徒の両親から依頼を受け、市に対して国家賠償法第1条第1項に基づく損害の賠償を求めて訴訟を提起。市側は、答弁書において、「国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うこと自体は争わず、損害額及びその調整(民法722条2項の適用・類推適用)を争う。」と述べたうえで、両親と和解協議を要望するとのことでしたので、裁判所において和解が可能かどうか協議しました。

 両親側としては、本件においては、両親は学校側に対し何度もいじめ被害を訴えていたことや家族は良好な関係であったことなどを主張し、いわゆる過失相殺(民法722条2項の適用・類推適用)は認められないことを前提として、市が2年以上もの長期にわたって被害女子生徒のいじめを放置し続けてきたことが被害女子生徒を死に追い込んだことをしっかり認識し責任を取っていただくことが最も重要であると考え、和解協議を行い、訴訟で求めた損害賠償金額に近い金額での和解が成立しました。

法的手続を終えて

 ご両親から、第三者調査委員会の立ち上げ当初から相談を受けることができましたので、調査委員に対しどのようなことを聞いたり求めたりするのがよいかなど、早い段階から互いに情報を提供し合い、必要なことを協議してきました。また、ご両親の市に対する不信感が大きかったこともあり、訴訟提起前から市とのやりとりについて依頼を受け対応もさせていただきました。おかげで、訴訟提起前から様々な情報を入手することができ、56ページに及ぶ訴状を作成し、訴訟を提起することができました。
 訴訟の際には、閲覧制限申立を行うことで、ご両親の個人情報等が流出することもなく、ご両親の要望に沿った記者会見(代理人弁護士のみ出席した会見)も行うことができました。
 訴訟提起してから1年程度で和解できたことは、同様の訴訟の中では稀な早期解決だと思います。

自死遺族が直面する
様々な法律問題について、
下記でさらに詳しい解説をしています。