マンションの住人がマンションの室内で自死したことについて、大家からご遺族が売却損1100万円または賃料下落分20年分960万円の支払いを請求された事例

法的手続の内容

 同居家族がマンション居室で亡くなった件で、ご遺族である借主が、調停申立人である大家から1100万円(事前査定額3130万円と事後査定額2030万円の差額、売却損)あるいは960万円(事前賃料査定額11万6000円と事後賃料査定額7万6000円の差額、月4万円の20年分賃料下落損)の損害賠償を求める民事調停を申立てを受けました。 

 ご遺族は、このマンションの賃貸借契約の借主であったため、相続放棄の手続きを行ってこの請求を退けるということはできませんでした。そのため、私たち弁護士は、ご遺族の方から依頼を受け、この民事調停に相手方訴訟代理人弁護士として対応することにしました。

 相手方(ご遺族)側としては、大阪高裁平成30年6月1日判決を引用して、売却損1100万円は特別損害であるから自死と相当因果関係がある損害ということはできないこと、また、賃料下落損20年分960万円もあまりに過大であり、1年目は8割減収、2年目から3年目は5割減収とし、さらに中間利息も控除すべきと反論しました。

 その結果、双方当事者の譲歩により、500万円を支払う内容で調停を成立させることができました。

法的手続を終えて

ご遺族は、弁護士に依頼する前の段階で、大家の弁護士から減価分の損害賠償請求の調停申立てをおこなう旨の内容証明が送られて、動揺しておられました。ご家族が亡くなられた際、今後どの程度の金額が請求されどのような流れになるのか(裁判の有無等)インターネットで調べたけれど、ほとんどが貸主側視点の記事で、借主側視点の記事がほとんどなく不安だったそうです。弁護士が受任して調停で主張立証活動をおこなった結果、500万円(一括)にまで大家(申立人)が譲歩し、ご遺族も当初から調停での解決を望んでいたことから、裁判にならずに民事調停(第3回期日)で解決できたことに安堵されました。

自死遺族が直面する
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