訴訟での主な争点は、まず適応障害を発病していたか否かが問題となりました。若年労働者のケースでは、中年の労働者と比較して、体力があるため精神障害の症状が外部から見て分かりにくいケースが多いといえるのですが、本案はまさにその様な事案でした。小さな様子の変化などを積み重ねて適応障害の発病を主張しました。
また、パワーハラスメントの有無も問題となりました。故人は新入社員ですからミスをするのは当然ですが、上司は故人の些細なミスの度に「馬鹿野郎」「帰れ」などと怒鳴っていたので、このような指導がパワーハラスメントに該当するか否かが問題となったのです。
仙台地裁の一審判決は、会社に対する損害賠償請求は認めたものの、上司に対する損害賠償請求は否定しました。
そこで仙台高裁に控訴したところ、仙台高裁は、会社に対する損害賠償請求のみならず、上司に対する損害賠償請求を認め、その金額を同じ金額としました。仙台高裁は、故人が新卒の社会経験も就労経験も乏しかった若年労働者であることを適切に評価した上で、指導に関してもパワーハラスメントという文言は使用しなかったものの、故人の成長の度合いに応じて適切に指導すべきと認定し、上司の責任を肯定しました。