トラック運転手が長時間労働等によってうつ病を発病して自死を図ったことにより高度障害が残った事案において、労災が認定されると共に、生命保険の自殺免責の適用が行われず高度障害の保険金が支給された事例

法的手続の内容

 労災に関しては、うつ病としての通院歴はなかったものの、眩暈や体調不良などについて耳鼻咽喉科に通院されていたので、カルテを取り寄せて内容を確認し、ご家族からの聴き取りも合わせて精神障害の発病を立証しました。また、トラック運転手ということもあり労働時間を立証する資料は全て会社にありましたので、会社に対して証拠保全を実施して、タイムカードや業務日報などを入手して、労働時間の立証を行いました。その結果、労災は無事支給されました。

 これに対して生命保険は交渉開始の時点から難航しました。弁護士と生命保険会社の社員とで打ち合わせを行っていたのですが、その社員達は「自殺免責が適用されないケースというのは、精神障害によって自分が鳥になったと思い込んで投身したような事例に限られるのだ。」と言い切っていました。そこで、うつ病が重症であったことを立証の目標にしました。立証手段としてはご家族から詳細な聴き取りを行った上で、自死を図った現場の状況を弁護士自身が確認し、さらに救急隊の記録などを取り寄せ、希死念慮が非常に高かったことなどを主張しました。その結果、生命保険も訴訟をせずに交渉の段階で満額支払われることになりました。

法的手続を終えて

最初に打ち合わせのためにご自宅を訪問した際、一番近い駅まで迎えに来て頂いたのですが、駅からご自宅まで車で1時間程度かかりました。季節はたしか3月ころで、麓の駅の周辺は春の様子だったのですが、ご自宅の周辺は雪がたくさん残っており、非常に驚いた記憶があります。
ご本人は現在も意識が戻らずに寝たきりの状態だそうです。しかし、それでも労災が出ているので治療費はかからず、十分とは言えないかもしれませんが治療を続けていらっしゃいます。傷病補償年金でも1級となっていますので、生活費という点でも安定はされています。 
また、生命保険のお金で自宅をバリアフリーに建て替えをされて、体調がよい場合はご自宅で療養されているそうです。
労災や生命保険のお金を得ることで、ご家族と一緒に暮らせて、ご家族も介護しやすい環境をつくることができたので、本当に良かったと思います。

自死遺族が直面する
様々な法律問題について、
下記でさらに詳しい解説をしています。