故人は若い頃にアスベスト(石綿)を吹き付ける作業に従事していました。アスベスト(石綿)の吹付け作業は大量の石綿に暴露するためアスベスト(石綿)肺を発病します。そして、アスベスト(石綿)肺はゆっくりですが長い時間をかけて徐々に悪化して呼吸困難を来し、中皮腫という非常に悪性度の高い癌を合併することがあります。
ご遺族が労災を請求したところ、労基署の判断はアスベスト(石綿)肺の悪化は認めたものの、精神障害の発病前の悪化の程度は大きくないと認定して業務外との決定を行いました。
行政訴訟では、アスベスト(石綿)肺の闘病苦による心理的負荷は、治療法が存在しない状態において、病状が持続的、慢性的かつ不可逆的に増悪することにより、常に、息苦しさ、咳、痰などの身体的な症状による慢性ストレスを何十年という極めて長期間にわたり、24時間365日受け続ける点に特殊性があることなどを医学文献に基づき主張しました。
判決は、アスベスト(石綿)肺の闘病苦による心理的負荷の特殊性を踏まえて、自死が労災だと認定しました。