公立中学校の教師が異動後に協力体制が低い状態で学力が低く問題のある生徒が多いクラスの担任となると共に学年主任に就任した結果、長時間労働に従事してうつ病を発病して自死した事案において、公務災害の認定を得た事例

法的手続の内容

 公立学校の教師の過労自殺(自死)の事案では、労働時間が適切に把握されていない場合が多く労働時間の立証が困難な場合が少なくありませんし、持ち帰り残業がある場合はそれらの時間をどのように立証するかが問題となります。また、公立学校の教師は、過去に業務によってうつ病などを発病したため通院しながら働いている教師も少なくありません。本件の故人も3年以上心療内科に継続して通院していたため、どの時点を発病と評価するのかが問題となりました。

 労働時間に関しては証拠保全を行って、パソコンのログなどを入手すると共に、自宅で使用していたパソコンを解析してログを入手しました。

 また、発病時期については主治医と面談して故人が診療室で話していなかった様々な情報を伝え、主治医から意見を頂きました。その結果、心療内科の通院は継続していたものの、軽度の残存症状を残して安定期に入っていたため配置転換の前に「治ゆ」し、配置転換後新たに発病したと評価できると構成し、公務災害の認定請求を行いました。

 これに対して地公災は、発病時期については当職らの主張を認めて一旦「治ゆ」した後、配置転換の後に新たにうつ病を発病したと評価し、長時間労働については1か月90時間など相当な時間外労働を行っており、持ち帰り残業も負荷要因として考慮すべきと認定して、公務上であると判断しました。

法的手続を終えて

教師の働き方改革が議論されていますが、まだまだ教師の労働環境は劣悪であると言わざるを得ません。本件でもタイムカードは一応存在したのですが、打刻をしたり打刻をしなかったりで、適切に管理がなされていませんでした。その理由として、公立学校の教諭は残業をしても「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」という法律に基づいて残業代が請求できないため、労働時間を管理する必要性が低いという点が挙げられます。しかし、労働時間は残業代だけではなく過労自殺(自死)や過労死を防止する上でも非常に重要です。公立学校の教諭の労働時間が適切に管理されるような法改正を願うばかりです。

自死遺族が直面する
様々な法律問題について、
下記でさらに詳しい解説をしています。