夫が鉄道自死し、鉄道会社から約260万円(その内人件費が約200万円)の損害賠償請求がなされた旨のご相談を受け、人件費が高額すぎる疑いがあったことから、受任して、弁護士から鉄道会社に、人件費発生を裏付ける資料の提供を求めた結果、不当な過大請求ではないことが確認されたものの、依頼者の経済状況等を鉄道会社に説明して、損害賠償金を90万円に減額して示談した事例。

法的手続の内容

鉄道会社からの損害賠償請求には人件費が含まれています。しかし、人件費の中には本来含まれるべきではない時間外労働が過大に請求されていることがあります。そこで、受任後、鉄道会社に対して、鉄道事故に関連して職員の時間外労働時間が生じたことを裏付ける資料の提示を求めたところ、鉄道事故によって職員が仕事を余儀なくされた労働時間とその賃金額として、職員の役職毎にまとまった労働時間、賃金額が提示されました。それだけでは実際に職員が労働していたという事実もわからず、また当該時間が「時間外」に該当するかもわからないので、鉄道会社に就業規則・賃金規程、労働実態を裏付ける資料を提出するよう求めました。それでも鉄道会社からは各職員の時間外労働時間を記録した資料だけが提示されました。

各職員の当該労働時間が「時間外」に該当するかが疑わしいので、就業規則・賃金規程を提出するようにと引き続き鉄道会社に求めました。就業規則・賃金規程がなかなか提示されなかったことから、「時間外」ではない労働時間について時間外労働であると誤った主張がなされているものと考えましたが、ようやく提示された就業規則・賃金規程を確認しますと、各職員が働いた時間は確かに「時間外」の労働時間でした。また、各職員が働いた時間は鉄道事故が生じれば、この程度は働くことになってもおかしくないという合理的な範囲でした。 そこで人件費が不当に高いということで交渉するのは困難であると判断し、依頼者が約260万円もの賠償金を支払えないことを示すために、給料明細や銀行口座の写し等の資料を提示し、鉄道会社と賠償金を90万円に減額して示談しました。

法的手続を終えて

当初は人件費をゼロにしようという考えで受任したものの、交渉の結果、確かに相当額の人件費が発生した事実が認められました。鉄道会社から就業規則・賃金規程の提示が中々提示されなかったことから、依頼者には長期にわたり心理的なご負担をおかけしてしまい残念でした。しかし賠償金を90万円まで減額することができ、また、事件終結後は、依頼者から、地元の法律事務所では相談を受け付けてもらえず困っていたが、最も辛い時期に弁護士の寄り添いが精神的な支えになり、感謝しているというお言葉をいただけたので、意義のある活動だったと思います。

自死遺族が直面する
様々な法律問題について、
下記でさらに詳しい解説をしています。