いじめへの抗議の声

同級生、障がいのある方へのいじめ行為を雑誌で発言していたことが問題視され、オリンピック・パラリンピック開会式の楽曲を制作する予定だったミュージシャンが辞任することになりました。組織委は、7月16日には続投の意向を示していましたが、世論の反発が強まり、一転、7月19日に辞任が発表されました。

報道されたいじめの内容は、あまりに苛烈でひどいものでした。私は、このようなことをする人がいるのかと人間の残酷さを感じて、しばらく重苦しい気持ちを引きずっていました。いじめやパワハラの事件でも、人間に対する不信感が生まれ、しんどく感じることがあります。

今回の件では、知的障がいのある方やその家族等でつくる「一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会」が声明を出すなど、多くの抗議の声が上がり、世論の反発も強まって、彼は辞任する運びとなりました。私は、この報道に接し、世の中には残酷ないじめをする人もいるが、それをおかしい、許さない、と考える人も多いのだ、と少し救われた、安心した気持ちになりました。

また、近年、心の平穏をどのように保つか、いかに生き抜くかなどを伝える本が数多く出版されています。現代社会では、生き難さを感じたり、自分自身や家族がいつしんどい立場に立たされるか分からないと不安を感じたりしている人が多いからでしょう。いじめやパワハラの報道に、我が事のような痛みを感じている方もいらっしゃると思います。

いじめやパワハラの認知件数は年々増加傾向にあり、なくなることはありません。被害に遭われた方やそのご家族のなかには、他の人がみな声の大きい人の支配下に入り、自分と距離をとっているような気がしている方もいらっしゃると思います。

ですが、その現状を許せないと憤りを感じ、何かできることはないかと考えている人も少なくないはずです。私もその一人であり、弁護団の活動を通じて、自分にできることを考えていきたいと思っております。