フリーランスをめぐる法整備

 コロナ禍を経て、フリーランスという働き方が注目されています。いまや、フリーランス人口は1577万人(新・フリーランス実態調査 2021-2022年版 – Speaker Deck)とも言われており、これから益々フリーランス人口が増えていくものと予想されます。

 フリーランスというと、時間や場所を拘束されない、組織に属さずに自由に働くことができる…といったイメージが先行しますが、必ずしも良い側面ばかりとはいえません。報酬未払いや発注者による買い叩きなど、様々なトラブルが発生するリスクがあり、また、法整備が十分になされていないという課題もありました。

 このような中で、2023年4月28日、国会で「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆる「フリーランス新法」)が成立しました。フリーランス新法では、取引条件の明示義務や報酬支払遅延の禁止、義務違反の場合の公的機関への申出などについて定められ、フリーランスをとりまく取引の適正化や就業環境の整備が目指されています。

 また、最近では、厚生労働省が、労災保険の対象を原則としてすべての業種のフリーランスへと拡大する方針を示しています。従来、一部の業種を除き、フリーランスは労災に加入することが出来ませんでした。そのため、フリーランスが労災認定を受けるためには、労働者性を認められなければならず(語弊はありますが、わかりやすくいえば、働き方が雇用と同じと認められることです)、フリーランスと労災認定の間には、常にハードルがありました。フリーランスの労災保険加入が認められれば、フリーランスが自死された場合にとるべき選択肢も増えるものと思われます。

 フリーランスをめぐる法的対応については、ここ数年で大きく変わるのではないでしょうか。