若者の自死

 東京で弁護士活動をしている細川潔です。

 私は、自死遺族支援弁護団や自死遺族の会だけでなく、学校の事故・事件に関する弁護団等にも参加しています。これらの活動からご遺族の相談等を受ける機会が多々あります。

 相談等を受けて思うのが、最近、若者の自死(学生も含む)が増えているのではないかということです。相談の事案だけでなく、交渉の事案、訴訟の事案、いずれについても若者の自死に関連するものが多くなってきている印象です。

 実際、内閣府の「平成27年版自殺対策白書」でも、平成26年中に自殺した若年層(40歳未満)の自死者の数は6581人で、全自殺者数2万5218人の26.1%であるとされています。また、全自死者数が減少していく中で、若年層の自死者数の減少幅は、他の年齢階級に比べて小さいものにとどまっているとも指摘されています。

 若者の自死について思うのは、その原因・動機が必ずしもはっきりしないということです。「自殺対策白書」をみると、若者の自死の原因・動機で最も多いのが「健康問題」、続くのが「経済・生活問題」、さらに続くのが「家庭問題」となっています。しかし、これはあくまで原因が特定できた者のはなしであって、特定できない者を含めると、2番目に多いのは「不詳」ということになります。

 ひとえに若者の自死といっても、事件になる形態については様々なものがあります。

 働いている若者ならば勤務の問題が、学生であったらいじめの問題が、自死の形態によっては賃貸問題や鉄道問題が生じることがあります。若者が通院していた場合は医療過誤の問題が、若者を被保険者とする生命保険をかけていた場合は保険支払拒絶の問題が生ずることもあります。

 どのような問題であっても、自死の原因・動機については、ある程度考えざるを得ないことになると思います。しかし、考える過程において、原因・動機は「このようなことかもしれない」という程度に明らかになることもありますが、必ずしも「これである」という程度にまで明らかになるとは限りません。個人的な感想ですが、原因・動機が明らかにならず、「なぜ」という思いを抱いたままのご遺族が多いような気もしています。

 そのようなご遺族の悲しみは察するに余り有ります。弁護団としても、個人の弁護士としても、ご遺族の「なぜ」という思いに寄り添って、自死にかかる法的な問題を解決して行ければと思っています。