1998年に自死者数が3万人を超えました。2006年に自殺対策基本法が施行され、様々な対策がとられてきました。その後、近年は自死者数は減少してきました。
しかし、コロナショックのためか、2020年8月の自死者数は前年同月と比べて増加傾向に転じました。当弁護団でも、例年であれば1月から8月の間の相談数はおおむね40件から50件でしたが、今年は60件を超えていました。9月に入っても、相談数は減りません。9月の自死者数を聞くのが恐くなります。
私がこのコラムを書いている間にも、死にたいくらい辛い気持ちを抱えて自死しようか迷っている方々がいて、大切な人が亡くなったことで悲しみにくれている方々がいます。
私は弁護士ですから、法的な問題には対処できるかも知れませんが、死にたいくらい辛い気持ちは、法的な問題だけでは解決できません。また、そのような方々に単純に「こうすれば良い。」と言うこともできません。
ただ、1998年と2020年が異なるのは、様々な生きるための支援が整備され、死にたいくらいに辛い気持ちを抱えた方々に寄り添おうとする取り組みが存在するという点です。このような支援や枠組みが、自死しようか迷っている方々にとって、少しでも意味があることを心から祈りたいですし、信じたいと思います。