故人の足跡を探す

本年6月20日付けの晴披弁護士のコラムにおいても書かれておりましたが、我々弁護士の活動、特に訴訟においては「事実」とその事実を裏付ける「証拠」がとても重要となります。

相談者のお話をお聞きするたびに、「こういう証拠があれば・・・」と思うことがよくあります。自死遺族が故人の自死を予期しているということは稀であり、生前から証拠の収集をすることは不可能です。そのため、他の事件と比較しても証拠の収集が容易でないことが多いです。

このような問題を踏まえ、先日、当弁護団がお世話になっているSEの方を講師にお招きして「PCやサーバー上のデータを有効活用するための講座」を開催いたしました。

その講座において、PC等の中には故人の生前の様子を見て取れる手がかりがたくさん残されていることが分かりました。

例えば、PCのイベントビュアーにはイベントIDが保存されており、使用者がそのPCで行った作業内容や時間が看取することができますし、その他にも故人の行った場所等が分かることもあります。

このような証拠の一つ一つは点に過ぎませんが、それらを繋ぎ合わせて線にしていくと故人の足跡が一定読み取れることもあるのです。

自死遺族にとって、これらの証拠が勝訴に有用なことはもちろんですが、故人の足跡が分かることによって生前の故人のことを知ることが遺族の心を充たすこともあるのだと思います。

膨大な量の証拠を検討し、線にしていく作業はとても困難で、挫けそうになることもありますが、今後も遺族の方と共に立ち向かっていきたいと思います。