カルテを取り寄せる目的について

労災を疑っておられる自死遺族からご相談いただいく際、亡くなられた方(本人)に通院歴があることも多く、そのような場合には本人のカルテの取り寄せをお願いすることがあります。

また、相談いただいた時点ですでに遺族がカルテを取り寄せている、というケースもしばしばあります。

しかし、カルテを取り寄せる目的が必ずしも周知されていないように思われます。

相談を聞く弁護士がカルテの取り寄せをお願いする第一の目的は、自死された方にいつ精神的な不調が始まり(発病時期)、その不調がどのような傷病名に該当するのかを確認するためです。

労災認定の要件として、労災の認定基準の対象となる精神障害を発病していること( 国際疾病分類IC D-10第5章「精神および行動の 障害」に分類される精神障害で あって、認知症や頭部外傷などに よる障害(F0)およびアルコール や薬物による障害(F1)は除く)というものがあり、かかる要件を満たしているかを確認するのです。

医師によっては、カルテに診断名、症状、処方薬の簡単な記載しかしない方もおられます。また、本人が、メンタルの不調に陥っている原因を医師に告げられていなかったり、原因を分かってないこともありうるでしょう。ですから、カルテの中にお仕事についての悩み事の記載がない場合もあります。

もっとも、先に述べたような視点から弁護士はカルテを見ますから、カルテの中にお仕事の悩みが触れられていないとしても、労災の要件を満たすことはあり得るわけです。

ご遺族においてカルテを取り寄せたものの、役に立つ記載がないと早合点して労災の申請を諦めてしまう、そのようなことがないようにしてもらいたいです。労災の申請には他にも検討すべき要件はありますので、まずは当弁護団にご連絡頂ければと思います。

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