子どもの自死の実情と課題

 近年のコロナ禍は、子どもの心身に大きく影響を与えています。2020年の小中高生の自死は、過去最多の499人、2021年も473人と過去2番目に多くなっています。児童生徒の自殺予防に関する文部科学省の有識者会議は、自死した児童生徒が増加した背景について、コロナ禍による家庭・子どもの環境変化が影響した可能性があると報告しています。

 弁護団で活動をしていると、子どもを亡くされたご遺族からのご相談をお聞きすることが少なからずあります。その際に課題に感じるのが、自死の原因の特定です。

 子どもは、大人から見ると、何の前触れもなく、突然衝動的に自殺してしまうという例があります。年齢が低いほど、その傾向は強いようです。もちろん、子どもの自死にも動機はあるものですが、感情が高まりやすいこと、理性が十分に発達していないことから、大人には理解できない小さなきっかけで自殺してしまうことがあるように思います。大人にとっては小さなことでも子どもにとっては深刻なことなのです。

 それに加えて、近年の子どもたちを取り巻く環境は、ひと昔より一層複雑に変化しています。SNSの情報や芸能人の自殺報道に影響されたり、死を現実的なものとは考えられず美化してしまったりすることもあるようです。

 文部科学省は、新型コロナウィルス感染症に対応した小中高校等の教育活動の再開後の児童生徒に対する生徒指導上の留意点について通知を発しています。同通知では、学校における早期発見に向けた取り組み、保護者に対する家庭における見守りの促進、ネットパトロールの強化を中心として、自殺予防に向けた取り組みの積極的な実施を促しています。

 子どもの自死が深刻な状況であることを社会全体として自覚し、自殺対策とコロナ対策を一体的に取り組むことが求められています。

素晴らしい人生になるように

大阪で弁護士をしております、中江友紀(なかえゆき)と申します。

私は、週末によく映画を観ます。

「素晴らしきかな、人生」という映画をご存知でしょうか。

2016年の洋画で、ウィル・スミスが主演です。

娘を病で亡くし人生のどん底にある主人公が、奇妙な3人の男女との出会いを通して、新たな一歩を踏み出していくストーリーです。

原題は「Collateral Beauty」といい、「Collateral」には二次的な、副次的なという意味があります。

人生のどん底にあっても、だからこそ見えてくる些細な幸せや美しさを見逃してはいけない、そんなメッセージをくれる映画です。

私自身、身近な方を自死により亡くした経験があります。その時は、本当に落ち込みました。

ただ、その経験を経たからこそ気づけたこともありました。

正しい例かわかりませんが、例えば、亡くなられたその日に、絶望の中で天を仰いで見た空が、皮肉なほどに綺麗に澄んでいたことが印象的に残っています。落ち込んだ私を支えてくれる人がたくさんいることにも気づきました。

映画のメッセージのように、悪い出来事にも、何か副次的な良いことがあるのではないかと考えるようになりました。

何より、私にとっての悪い出来事があったからこそ、今となっては自死遺族の方の力になりたいと思うようになり、当弁護団に所属するに至っています。

どんなにつらい出来事があっても、何か二次的な、副次的な何かに気付き、出会い、一歩進める機会があるはずだと考えています。

そして、私は、当弁護団の活動において、一人でも多くの方が一歩前に進むことができるようなお手伝いができればと思っています。

微力ながら、弁護士としての自分にできる限りの活動と努力を重ねていきたいと考えています。