当弁護団には、自死された方のご遺族から、相続放棄に関するお問合せをよくいただきます。
これらの方々の中には、相続財産はあるものの空き家となってしまっている不動産であったり、十年以上も使用された自家用車であったり等、資産性が乏しく、むしろ多額の負債がある可能性もあるため、相続放棄をしたいとのご相談をされる方もいらっしゃいます。
この場合、相続放棄をすることにより、多額の負債があった場合にはこれを免れることができます。
(相続放棄に関する詳細は、2021年6月7日付の記事「なるべく早めのご相談を」(作成者:岡村庸靖弁護士)や2021年12月21日付の記事「相続人について」(作成者:秋田智佳子弁護士)をご参照ください。)
また、改正前の民法では、相続放棄をした方は、次順位の相続人(例えば、亡くなられた方のご子息全員が相続放棄された場合、亡くなられた方のご兄弟が次順位の相続人となります。)が相続財産を管理するまでの間、当該相続財産を管理しなければならないとされておりましたが、改正後の民法では、相続放棄をした方は、「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」に限り、次順位の相続人又は後述する相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、当該財産の保存義務を負う旨が明文化され、相続放棄の時に現に占有しない財産については責任を負わないこととなりました。
もっとも、例えば、駐車場の管理人からの求めに応じて相続財産たる自家用車を預かる等し、相続放棄の前に自家用車を現に占有してしまったような場合には、改正民法に基づき、相続放棄をしても、当該財産の保存義務を負うこととなってしまいます。
相続放棄を検討されている方は、安易に相続財産を預からないように注意しましょう。
なお、自身が亡くなられた方の兄弟姉妹であり、相続放棄により他の相続人がいなくなってしまう場合、現に占有してしまった相続財産の保存義務から解放されるためには、相続財産清算人を選任してもらう必要があります。
相続放棄やその後の財産管理等についてご不安のある方がいらっしゃれば、是非お気軽に当弁護団にご相談ください。