うつ病などの精神疾患に特徴的な症状を知っておく

 何年か前、新聞記事で、自身がオーバーワークになっていたという弁護士の体験談を読みました。オーバーワークになる中、自分が担当している労災事件などで知った、うつ病などの精神疾患に特徴的な症状が自身に出ていることを自覚し病院を受診した、受診していなかったら大変なことになっていたと思う、といった内容だったと記憶しています。その弁護士は、著書で勉強させてもらうなど一方的にお世話になっている弁護士だったので、あの人がそんな風になっていたのか、大変なことにならなくて良かった、という感想を抱きました。

 それからしばらくしてから、これは私も同じ状況になりかけているのではないか、と思う時期がありました。深夜に目が覚め、寝ようと思うけれども仕事のことが頭にどんどん浮かんできて、眠れない。日中も、仕事のことをぐるぐると考えてばかりいる。これは良くないと思い、意識的に、周りに相談するなど助けを求めるようにしました。

 仕事が背景となって労働者が精神疾患を発症してしまうケースの多くは、事業主が負っている職場環境配慮義務が果たされていないことが原因となっているので、職場環境配慮義務が果たされる方向で解決されるのが本来で、労働者が自己防衛をする義務はないと考えます。ただ、職場環境配慮義務が果たされる方向には進みにくい、あるいは職場環境配慮義務が果たされるまでには時間がかかるのが現実なので、可能な範囲で自己防衛術を身に付けておくことは、有用ではないかと思います。そのような点から、保健体育の授業などで、うつ病などの精神疾患に特徴的な症状を習う機会があると良いのではないかと思います。

 厚労省のホームページに以下のようなページがありましたので、ご紹介します。 
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス「うつ病」について

差押・仮差押の手続

 労災等で亡くなられた方のご遺族が、会社に対して損害賠償請求の裁判を起こし、裁判所が判決で損害賠償請求権を認めた場合であっても、会社が、判決で認められた金額を支払わないことがあります。とても悪質で、会社が、例えば土地・建物や銀行の預金口座等の財産があるにもかかわらず支払わない場合、会社の土地・建物の所在や銀行の預金口座を知っていれば、裁判所を通して「差押」という手続きをして、強制的に回収することができます。しかし、もし会社が財産はないと主張し、実際に会社の財産を発見することもできなかった場合は、判決で損害賠償請求権が認められたとしても、残念ながら回収をすることはできません。

 会社に対して裁判を起こした後、判決が出るまでの間は、時間が数年単位でかかることも少なくありません。中には、損害賠償を支払いたくない会社が、裁判所が判決を出すまでの間に、会社の財産を隠してしまうこともあります。そのような場合に備えて、有効な方法が「仮差押」という手続です。判決が出るまでの間に財産を隠してしまわないよう、裁判所を通して仮に会社の財産を差し押さえておく手続です。会社の財産を仮に差し押さえておくと、仮差押後、会社が土地・建物を第三者に売却をしたとしても、将来勝訴判決を得たら、仮差押をした部分から強制的に回収することができますし、銀行の預金口座は仮差押えが入った金額は払い戻しをすることができなくなります。この「仮差押」手続きは、裁判所に対して、「仮」に差し押さえる必要性を説明する必要がありますし、判決が出た後に行う場合と異なり、「仮」の手続のため、相当額の担保金を裁判所に納める必要があります。

 会社に対して起こした裁判の中で、会社への請求自体は認められる方向で進んでいたとしても、会社が、経営状態の悪さを理由に、高額な金額は支払えないと言い、低い金額での和解を提案することがあります。このような場合は、事前に仮差押を入れておくと、仮差押が入った部分の財産は少なくとも会社にあることが分かるため、和解する場合の金額を上げる手段としても有効です。

 このような手続も活用して、しっかり会社から支払いを受けるよう、工夫をしています。

>>損害賠償請求の解決までの流れはこちら

追い詰められる若者と徒弟の弊害排除

 一人前になりたい、何者かになって夢をかなえたいと目標に向かってひたむきに頑張る若者の姿は眩しく、応援したくなるものです。

 けれども若者が被害に遭った過労の事件、長時間労働やハラスメント被害の事件を受けるにつけ感じるのが、そのような若者の意欲や志、そして夢がかなわなかったらどうしようと不安に感じる心に付け込んで利用する大人が少なからず存在する、ということです。

 目指す世界で実績と権威のある、師匠にあたるような上司に「一人前になりたかったらこれくらい(長時間残業、休日なし)なんて当たり前、自分の若いころに比べればまだまだ甘い」、力関係を利用してパワハラやセクハラをしておいて「特別目をかけて鍛えてやっているんだ、感謝しろ」などといわれ、逆らいようもないという被害です。

 呆れたことに、裁判になってすら「仕込んでやっていた」「修業中の身」などという弁解を続ける使用者もいます。

 若者自身も、過労やハラスメント被害で健康な判断力や自己評価を損ねてしまい、期待に応えられない自分が情けないなどと間違った自責の念に苦しみ続け、ひいては取り返しのつかない事態に至ることもあります。

 労働基準法69条に「徒弟の弊害排除」との条文があります。「使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の取得を目的とするものであることを理由として、労働者を酷使してはならない」というものです。

 戦後すぐに同条が公布、施行されるにあたり「本条の趣旨は、我が国における従来の徒弟制度にまつわる悪弊を是正」「その監督取締りを厳格に行い、特に今なお封建的色彩の強い中小規模の事業の使用者に対し本条の趣旨を周知徹底させるよう努めるべき」と通達されています(昭22.12.9基発53号、労働局労働基準法(下)759頁)。

 しかしながら、そこから70余年経った現代の職場においてもこの封建的な悪弊がしぶとく残存し、若者を苦しめています。

 社会全体で、尊厳をもって健やかに働くのはどんな立場にあっても当然の権利だということを再確認する必要があります。 そして我々弁護士としても、使用者の修行中・勉強中・本人が望んでいた等の弁解に対し、加害の悪質性を減ずる事情ではなく逆に著しい違法性悪質性を示すものであることを、徒弟の弊害排除の精神を引いて、慰謝料請求や付加金・賃確法利息(賃金不払のペナルティ)請求の場面で示さなければなりません。

漫画『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』の「切なる想い」と「祈り」

 『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』 という漫画が、ビッグコミックスピリッツで連載されています。『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』は岡山弁だそうで、「頑張ってるかい?マサコちゃん」くらいの意味だそうです。
 作品はフィクションですが、森友学園問題によって人生を大きく狂わされた赤木俊夫さんと雅子さん夫婦を題材にしています。
 俊夫さんは近畿財務局の職員でした。決裁文書等の改ざんの指示に強く抵抗したものの、やむを得ず指示に従って改ざんを行いました。その後、改ざんに手を染めたことによる良心の呵責に苦しんで自死に追い詰められました。
 雅子さんは俊夫さんの自死後、俊夫さんの身に何があったのか、真実を知るために今も裁判を続けています。

 ビッグコミックスピリッツは1980年創刊だそうです。創刊当時記憶があるのは『めぞん一刻』です。その他の作品では、『14歳』、『ギャラリーフェイク』、『鉄コン筋クリート』、『F』が好きでした。大学生くらいまで毎週読んでいた記憶です。どの青年向けの漫画雑誌もそうですが、恋愛やスポーツを題材にした作品が多かったのではないでしょうか。
 しかし、私も完全に中年のおっさんとなり、ここ数年、ビッグコミックスピリッツなどの漫画雑誌を読むことは殆どなくなりました。『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』を読むために、 本当に久々に漫画雑誌を手に取りました。

 漫画も商売です。作り手にどれだけ思い入れがあっても受け手に伝わらず、エンターテイメントとして売れなければ、連載が途中で終わってしまうこともあるそうです。
 特に日本の場合、映画やドラマを見ているとよく分かるのですが、実際に起きた社会問題や人々の苦悩をエンターテイメントにすることが非常に苦手なように見えます。
  作り手にも受け手にも問題があると思いますが、主に作り手の覚悟や信念の欠如が大きいと感じます。私見ですが、日本の作品は陳腐に矮小化された作品が多く、感銘を受けた作品はごくごく少数しかありません。 

 その意味で、『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』 は、森友学園問題という現実の社会問題を題材にしているという点において、しかも、自死をした俊夫さんと自死遺族である雅子さんの物語を正面から題材としているという点において、作り手である原作家、漫画家、編集の強い覚悟と信念が伝わってきます。メジャーな漫画雑誌では今まで連載されたことのない挑戦的な作品ではないでしょうか。

 ビッグコミックスピリッツのホームページ上の作品紹介には、「この漫画作品はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありませんが、実在する人々の切なる想い、祈りには大きく関係しています。」とあります。
 この漫画の結末は、おそらくハッピーエンドではないでしょう。そして、若い女性の水着姿が表紙を飾っているところを踏まえると、読者層は10代後半から30代の男性だと思われます。 
 しかし、自死に追い込まれた俊夫さんと自死遺族である雅子さんの「切なる想い」と「祈り」が、老若男女を問わず多くの読者に届くことを切に願ってやみません。

2022年3月12日(土)~13日(日)電話・LINE24時間無料法律相談を実施します。

自死遺族支援弁護団では、昨年度に引き続き、2022年3月12日(土)昼12時~翌13日(日)昼12時までの24時間にわたり、自死遺族の方々を対象に、電話とLINEによる無料法律相談を実施します。

自死遺族の方々は、取り巻く環境や心理的な問題などにより、なかなか相談できないという状況の中にいます。

そこで、自死遺族支援弁護団では、24時間いつでも相談に応じることで、自死遺族の方々に「安心して」「昼でも夜でも」「24時間相談したくなったら電話でもLINEでも相談できる」と考えております。今回の無料法律相談においては、自死遺族支援弁護団に所属する弁護士約10名が24時間電話とLINEで相談に応じることになっております。

できるだけ多くの自死遺族の方々にご利用いただき、自死遺族の方々が背負っている問題を整理し解決していきたいと考えております。どうぞお気軽にご相談くださいませ。

日時
2022年3月12日(土)昼12:00~13日昼12:00

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@540ifphl

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自殺報道ガイドラインについて

ここ数年、芸能人の自死のニュースを見かける機会が定期的に続いているという感覚をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そして、著名人の自殺が、一般の方(特に、子供や若年、自殺念慮を抱えている人)に対する影響を与えることが統計上明らかとなっています。令和2年の7月に男性俳優が、同年9月に女性俳優が自死した後、統計上、顕著に自殺者数が増えたというデータが存在しており、芸能人の自死が、ワイドショーなどのテレビ報道や、インターネット上の記事を通じて若年層に自死のきっかけを与えている可能性があります。

WHO(世界保健機構)は平成29年に「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2017年度版」(「自殺報道ガイドライン」と呼ばれています)を定めており、かかるガイドラインよれば、<自殺関連報道として「やるべきでないこと」>として、「報道を過度に繰り返さない」「自殺に用いた手段について明確に表現しない」「センセーショナルな見出しを使わない」などが挙げられています。
他方で、<自殺関連報道として「やるべきこと」>として、「日常生活のストレス要因または自殺念慮への対処法や支援を受ける方法について報道すること」「自殺と自殺対策についての正しい情報を報道すること」などが挙げられています。

昨年末の芸能人の自死報道を見ても、朝からどのチャンネルでも長時間の特集が組まれ、上記のガイドラインが守られているのか疑わしいようにも思われましたが、ニュースの最後に相談窓口の案内がなされるなど、報道姿勢に変化も感じた番組もありました。

ただし、若年者層は、テレビ等の報道よりもSNSでの情報収集が中心です。報道関係者ではない個人の情報発信に影響を受けてしまう可能性が大いにありますが、個人のSNS発信は規制が難しい状況です。子供達がインターネットリテラシーを学ぶ機会も増えていると聞きますので、自殺報道に接した際の対応の仕方も教える必要があると考えます。 

「事故物件」問題について思うこと

 日本において、自死が発生した物件を「事故物件」として忌避する風潮があるとはご存じだと思います。

 「事故物件」情報をインターネット上で拡散するウェブサイトなども存在し、ひとたび「事故物件」として登録されてしまうと、物件が賃貸不能となったり、売却が困難となるなどの問題が生じるほか、実際に当該物件に住み続けているご遺族の生活の平穏が脅かされることも珍しくはありません。

 このように、「事故物件」であると周囲から認識されることによる弊害は従来から存在していましたが、今日では、上記で述べたような弊害に加えて、物件の「事故物件化」を避けようとする動きとして、高齢者などに対する貸し渋り問題などが生じているといいます。この問題は、必ずしも自死とだけ結びついた問題ではありませんが、「人の死に対する受け止め方」の問題として、自死問題にも関わるものといえます。

 人にはいつか命の終わりが訪れますし、自死を含む「人の死」に対する受け止め方を、社会全体で考え直す必要があるように思いました。

ネットいじめ問題の現状と対処法

1 ネットいじめとのかかわり

 私は、もともとは過労自死、生命保険、賃貸物件での自死など、自死に関する法律問題全般を専門的に扱っていましたが、私自身小学生の子を持つ親でもあることから、6~7年前からいじめ自死の相談を受けることが多くなりました。遺族の代理人として教育委員会と交渉を行ったり、遺族推薦の委員として第三者委員会で活動したりしている中で、2年ほど前にネットいじめ相談を受け、それ以来ネットいじめの問題に関心を持つようになりました。

2 ネットいじめの具体例

(1)使用されるアプリ

 かつてはネット掲示板(学校裏サイトなど)がネットいじめの温床とされていましたが、今日はSNSが利用される可能性が圧倒的に高くなっています。SNSの中でこどもの利用頻度が高いのはTwitter、LINE、高校生はInstagramやTikTokなどを使っていることもあります。また、オンラインゲーム(フォートナイト、荒野行動など)のボイスチャット機能などを用いていじめが行われることがあります。

(2)ネットいじめ行為の類型

 ネットいじめ行為の類型は、使用するアプリの機能に応じて多様に変化しています。典型的なパターンとしては、①Twitterなどでなりすましアカウントを作られ、虚偽の情報やプライバシー情報を暴露された、②自分の写真、動画を勝手に加工され拡散された、③lineなどのグループトークを外された、④いじめられているところを動画撮影され、拡散された、⑤罰ゲームとしてうその告白をされた、⑥過去の交際時の画像を拡散された(リベンジポルノ)、⑦オンラインゲームで、グループから外された特定のこどもへの集中攻撃が繰り返されたなどが考えられますが、今後も新しいアプリが開発されるたびに新しいパターンのいじめ行為が現れると予想されます。

3 ネットいじめの現状

(1)統計上も過去最多

文部科学省は、全国のいじめ事件の統計を取っており、毎年、調査結果の公表を行っています。(→文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)2021年10月13日に公表された、「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、ネットいじめの件数は1万8870件で過去最多(平成29年度1万2632件、平成30年度1万6334件、令和元年度1万7924件。)となっています。学校が把握していないネットいじめも多数あると思われ、潜在的な件数はもっと多いことが予想されます。

 また、小中学校における不登校の件数も過去最多(19万6127件。)、小中高等学校におけるこどもの自殺も過去最多(415件。なお前年度は317件。)となっています。学校現場が現在非常に危険な状態となっていることが統計上も明らかとなっています。

(2)近時のネットいじめの特徴

 小学生でもスマホを持ちSNSを使うことが珍しくなくなった現在では、ネットいじめの特徴も変化が見られます。SNSを利用する場合、コミュニケーションの相手はクラスや友人などであり、多くの場合、現実に存在する人間関係を補完するツールとしてSNSが用いられています。その意味で、現在のネットいじめは掲示板などで見知らぬ人から攻撃されるようなパターンよりも、現実に存在する人間関係を前提に、ネット上でいじめ行為が行われるパターンの割合が増えています。つまり、ネットいじめの存在が確認できた場合、いじめ行為はネット上にとどまらず、クラスや部活動などリアルな人間関係の中にも広がっている可能性を疑う必要があります。

3 ネットいじめへの対処法

 ネットいじめの多くがリアルな人間関係を前提としている以上、2つのアプローチを併用する必要があります。具体的には、第三者委員会の設置など学校や教育委員会を通じていじめの実態解明を行うアプローチと、発信者情報開示などネット上のいじめの痕跡をもとに証拠収集を行うアプローチです。当事者適格の無い学校が発信者情報開示請求を行うのは不可能な一方で、学校におけるいじめの実態解明は生徒のアンケート等が非常に重要ですから、どちらか一方だけのアプローチでは不十分と考えます。

4「弁護士によるネットいじめ対応マニュアル」について

 私は、自死問題でともに活動してきた細川潔弁護士、私と一緒の事務所でインターネット事件を得意とする田中健太郎弁護士とともに、2年前からネットいじめ研究会を開催し、月1回のペースで議論を重ねてきました。そこでの議論をもとに、2021年11月、教育関係の専門書を数多く出版しているエイデル研究所から、「弁護士によるネットいじめ対策マニュアル 学校トラブルを中心に」を出版しました。

 本稿で述べている内容の多くは、この本からの引用です。本の中ではより具体的な対応策や、より高度な論点なども記載していますので、興味のある方は是非ご活用いただければと思います。

弁護士によるネットいじめ対策マニュアル 学校トラブルを中心に
細川 潔・和泉貴士・田中健太郎 著
「弁護士によるネットいじめ対策マニュアル 学校トラブルを中心に」

相続人について

 ご兄弟の方から、兄弟が自死されたとの相談を受けることも度々あります。

 亡くなられた方に奥さんやお子さんがいらっしゃる場合もあれば、以前、結婚していたがその後、離婚され、配偶者の方がお子さんを引き取って育てておられ、離婚以後、親戚つきあいなど全くないという場合もあります。

 そうした場合、亡くなられた方の事情を一番知っておられるご兄弟が葬儀や親戚への連絡などおこなわれることになり、鉄道事故の場合は鉄道会社と、マンションでの自死の場合は家主や不動産業者、警察などとの応対もされることになります。

 亡くなられた方の預金や保険といったプラスの財産や、ローン、携帯本体の分割金などマイナスの会社も、郵便物や通帳の入出金履歴から手がかりを探し、マイナスの方が多ければ相続放棄を、調査に時間がかかりそうという場合には相続の承認又は放棄の期間の伸長申し立てを、故人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる必要があります。

 金融機関の負債の調査には、KSC(一般社団法人全国銀行協会(JBA)の全国銀行個人信用情報センター)JICC(株式会社日本信用情報機構)CIC(株式会社シー・アイ・シー)に照会することもできます。

 亡くなられた方に奥さんやお子さんがいらっしゃれば、奥さんやお子さんが相続人となりますし、奥さんと離婚されてお子さんを引き取っておられる場合は、お子さんが相続人となります。

 第一順位の法定相続人がいる場合、ご兄弟の方は相続人ではありませんので、この段階でご兄弟の方は相続することも相続放棄をすることもできません。

 こうした場合、まずは第一順位の法定相続人に連絡をとって、相続するのか、相続放棄するのか、あるいは相続の承認又は放棄の期間の伸長申し立てをするのかを第一順位の法定相続人に検討いただく必要があります。

 何年も連絡をとっていないため、第一順位の法定相続人に連絡先がわからないという場合は、弁護士がご兄弟から相続手続きの委任を受け、相続人調査をおこなうこともできますので、こうした場合は、遠慮なく弁護団までご相談ください。

>>相続についてはこちら

ネットいじめ問題

 はじめまして、弁護士の田中健太郎と申します。

 インターネット問題やマンション問題に取り組む中で、自死に関する案件を取り扱うようになり、自死遺族弁護団に加入することとなりました。

 文部科学省が2020年に調査した不登校等調査によれば、児童・生徒の自死や不登校の原因について、ネットいじめが1万8870件と過去最多となりました。

 世界的にもネットいじめ問題は深刻さを増しており、韓国ではアイドルがプライバシーの拡散を受けたり、誹謗中傷を受けたりすることで自死するというケースが跡を絶ちません。

 日本が行っているネットいじめ対策としては、プロバイダー責任制限法の改正に伴い発信者の特定に要する期間の短縮が図られたことや侮辱罪の刑罰に新たに1年以下の懲役・禁固又は30万円以下の罰金を加えたこと等が挙げられますが、教育現場でのネットいじめの対応はなおざりであると言わざるを得ません。

 私が執務を行う町田市でも小学6年生がネットいじめにより自死したとの報道があります。いじめに使用された端末は、文部科学省肝いりのGIGAスクール構想(児童・生徒の1人1台パソコン端末を配布して教育現場に活用する構想)で配布された学習用デジタル端末を用いたもののようで、デジタル端末の技術的な側面を偏重した教育の結果ともいえます。

 インターネットの問題が伴う自死に関して悩まれている方は、ご遠慮なく弁護団にまでご連絡下さい。