自死遺族のための分かち合いの会について

「分かち合いの会」って聞いたことがありますか?

「分かち合いの会」とは、自死遺族の方が集い、お互いに思いや悩みなどを語り合うところです。

下記URLのとおり、全国各地で行われています。
http://www.izoku-center.or.jp/bereaved/wakachiai.html

こちらに掲載されていないところもありますので、お住まいの精神福祉保健センターに問い合わせてみてください。

私も、夫を亡くした自死遺族なので、分かち合いの会に参加したことがあります。

私はずっと、子どもたちに「パパは病気で死んだの」と話していたので、それが嘘をついているみたいで苦しくてつらくて・・・そのことを「分かち合いの会」で話したら、「無理に話さなくていいよ」「私も子どもには話していないよ」などと言ってもらえて、ほっとしました。

同じ自死遺族だからこそ話せること、わかることがあります。

「分かち合いの会」の中には、亡くした遺族の立場、子どもを失くした方、夫を亡くした方といったそれぞれの立場毎にグループ分けをし、語り合うところもあります。

また、同じ遺族とはいえ、何人かいる中では話しづらいという方のために、「分かち合いの会」の代表者の方が電話で個別に話を聴いてくれるところもあります。

最近では、最後の頃に、クールダウンするためのリラックスタイムが設けられるなど、できるだけみなさんの負担を軽減するような工夫がされています。

「ああ、私だけじゃないんだ・・・」「ここでは何でも話せる」など・・・

「分かち合いの会」は、そんな自死遺族のための集いです。

「分かち合いの会」で話をしたことはその場限りで、お互いにその場を離れたら口外しないことになっています。

一度、参加されてみてはいかがでしょうか・・・

遺族支援とは何か ②「遺族支援」の発展 ―自己責任論の影響―

自殺対策全体に大きな影響を与えたのは、貧困問題という分野でした。

生越弁護士と私が自死遺族支援弁護団の構想を練り始めたのは2010年、当時はリーマンショックによって大量の解雇・雇止めが発生し貧困問題が社会問題として注目され始めた頃でした。私自身も日比谷公園で行われた年越し派遣村で生活保護の相談に乗りました。

貧困問題が当時社会に問いかけたのは、「貧困は自己責任か?」という疑問でした。生活保護受給者に対して、「働かないから悪い。」、「努力しないから仕事につけない。」などと語ることは簡単ですが、その前に考えることは無いのか。私たちの社会は人間が健康で文化的な最低限度の生活を送るためのシステムを作り、維持することが本当に出来ているのか。同様の視点から自殺対策を改めて見直したとき、いくつか見えてきたことがありました。

典型的な例として、過労死ラインを大幅に超える残業により精神疾患を発症してアパートで自死した事案で、遺族に対して大家さんから損害賠償を請求されることがあります。このような事案で、「自死者の心が弱いのが悪い。」、「そもそも育て方に問題があった。」など「自己責任論」を語っても無意味なことは明らかでしょう。過重労働を生み出した会社、ひいてはそれを許容する社会のありかた自体に目を向ける必要がありますし、自死によって遺族が被るダメージを社会全体で共有し・緩和するシステムを作る必要があります。

また、自死は自ら招き寄せた事故であることを理由に、遺族が保険会社から生命保険金の支払いを拒否された事案がありました。しかし、WHOをはじめ様々な研究論文において、自死者の大多数は自死直前に精神疾患を発症しているとの報告がなされています。精神疾患の影響で死以外の問題解決手段が思いつかない状態(これを心理的視野狭窄と呼びます。)になり死を選んだ人や遺族に対して、「自己責任」を理由に他の死因とは異なる扱いを選択することに合理性があるでしょうか。

このように考えたとき、「自己責任論」は必ずしも貧困問題固有の問題に限らないことが見えてきます。社会的少数者である自死遺族が被る不利益を正当化する根拠としても、当時は安易な「自己責任論」が語られがちな状況でした。

初期の自死遺族支援弁護団の活動を改めて振り返ったとき、「自己責任論」の影響をいろいろなところで垣間見ることができます。「自己責任論」批判という視点からいくつかの新しい法律構成が生み出されました。

弁護士ができる遺族支援とは・・・

私たち弁護士に何ができるんだろう・・・?

 遺族の方の願い「あの子を返して」「あの人、あの子に遭いたい」には、応じてあげられない・・・

 だから、せめて、「なんでこんなことに・・・」「一体何があったの?」という知りたい気持ちには応えたい・・・

 もっとも、本当に何があったのか、全てを知る術はないけれど・・・

 できるだけ何があったのかを一緒に探していくことはできます。

 情報開示請求や証拠保全などの法的な手続きを利用し、亡くなった方に一体何が起きていたのか、調べることもできます。

「今後、どうやって生活していったらいいの?」などの不安についても、遺族年金などの制度について説明し、安心して生活できるようにアドバイスします。

 労災請求手続き、大家さんからの損害賠償の請求、住宅ローンなどの借金への対応、生命保険の請求などについては、当弁護団の弁護士の腕の見せ所です。

 そして・・・

 遺族の方が思い悩む損害賠償請求・・・

 働きすぎやパワハラ、いじめなどで亡くなった場合、会社や学校、加害者への損害賠償請求についても、証拠集めに尽力するとともに、裁判例や今までの経験を踏まえて見通しを行い、訴訟を提起するかどうかについて一緒に考えます。

「先生、娘の命の値段を決められるみたいで・・・なんだかやりきれないです」
「裁判しても、あの子は帰って来ないし・・・」
「裁判することで自殺(自死)したことが知られるのがこわい・・・」
「これ以上つらい思いはしたくない・・・」

などの不安な声にもしっかり対応し、遺族の方の生活を守りながら、遺族の方に寄り添いながら、訴訟手続きを行います。

 当たり前のことですが、遺族の方が望まないことはしませんのでご安心ください。

私たち弁護士にできる遺族支援とは・・・

「遺族の方の声にしっかりと耳を傾け、弁護士としてしかるべき対応をすること」

そう思っています。

遺族支援とは何か ①「遺族支援」が生まれるまで

自殺対策に関わるようになって、10年以上の月日が過ぎました。少し過去を振り返りながら、法律家からみて遺族支援とは何なのか、私個人の考えを述べてみたいと思います。

第1回目は、「遺族支援」が生まれるまでについて述べたいと思います。自殺対策には大きく分けて「自殺予防」と「遺族支援」という領域があるのですが、自死遺族支援弁護団が主として手がける「遺族支援」という領域がどのように生まれ、発展してきたかを、振り返ります。

私が自殺対策と関わるようになったのは、自殺対策基本法が制定(2006年)された直後の頃でした。当時の私はまだ弁護士になる前で、一当事者としてNPOが開催していた遺族の分かち合いに参加していました。その後、分かち合いの参加者に誘われて、自殺予防に関するシンポジウムにも顔を出すようになりました。自殺者は3万人を超え、3万人を視覚的に理解するための例として東京マラソンの出走者の映像を見たことを覚えています。

当時は、自殺予防と遺族支援はそれほど明確に区別されていなかったように思います。自殺対策基本法が制定された原動力の一つは遺族の声でしたから、自殺予防を推進するにも遺族の力が必要な時期でした。そして何より、遺族が抱えるさまざまな問題がまだリストアップされていない時期でしたので、遺族支援の必要性自体がまだ明確になっていない時期でした。遺族支援は明確に意識されないながらも自殺予防にぼんやりと包摂されている、そんな時期だったように思います。

その後、遺族が遺族であるがゆえに抱える困難が徐々に明らかになっていきます。
従来からある過労死に加え、自死であることを理由に特別な戒名をつけられた、死因は隠して葬儀は家族だけで行った、近所の目が怖くて買い物に行けない、犯罪でもないのにニュースで実名報道された、周囲に迷惑かけてすみませんでしたと謝罪するよう求められたなど、遺族が社会と接触する際に経験したトラブルについて、多くの声がNPOなどに寄せられるようになっていきました。

詳細は次回以降に述べますが、トラブルの背景には、自死というものに対する誤った理解や偏見があります。また、これらトラブルの多くは周囲とのコミュニケーションに関するもので、客観的に可視化することが難しかったため、自殺対策に関わる人たちの間でも共通認識となるまでには時間がかかりました。私もとある弁護士会の委員会でこの話をしたとき、遺族の考えすぎではないかと言われたことを覚えています。

弁護士選びについて

 自死遺族の方が弁護士に事件を依頼することは人生で一度かも知れません。様々な思いや葛藤を抱えて依頼をされるのですから、自死遺族の事件について専門的な知識があり、経験も十分あって、心情にも配慮してくれる弁護士に依頼をしたいと考えるのは当然のことでしょう。

しかし、自死遺族の方が弁護士を選ぶことはとても難しいと思います。

 理由はいくつかあると思いますが、もっとも大きい理由は、医師のように専門化がなされていないため、自死遺族の方から見て依頼をしようとする弁護士が自死遺族の問題に強いのか分からないという点にあるのではないでしょうか。

 医師の場合、少なくとも内科、整形外科、産婦人科などの診療科で区別がされているので、腰痛で苦しんでいる人が眼科へ行ってしまうということはありませんし、花粉症で苦しんでいる人が心臓外科へ行くことはありません。

 もっとも、弁護士は医師の様に専門化が進んでいません。自死遺族の事件は、例えば、過労自殺(自死)、生命保険の自殺免責、学校でのいじめ自死など、それぞれに専門性と経験が必要となりますが、これらの問題についての専門性と経験を弁護士が持っているか、外から見ても分からない場合が殆どでしょう。弁護士会によっては分野毎に弁護士を検索することもできるようですが、「重点取扱分野」についてわざわざ「取扱う意思のある業務のことを意味し、必ずしも、専門業務、得意業務、あるいは取り扱ったことがある業務を意味するものではありません。」と注意書きを付けている弁護士会もあります。

 では、どうすれば安心して依頼できる弁護士を見つけることができるのでしょうか。私は弁護士に以下の3点について聞くことをお勧めしています。

まず第1に、自死遺族のどのような事件をどれだけ受任してきたかという点です。受任してきた件数が多いほど専門性が高く経験があるといえるでしょう。

第2に、事件の方針や今後の手続の流れがどのように進んで行くのかという点です。専門性が高く経験があれば、個別の事案毎に方針や今後の手続の流れを具体的かつ丁寧に説明することができるはずです。

第3に、セカンドオピニオンを自由にとって良いのかという点です。どれだけ専門性が高く経験を積んでいても完璧ということはあり得ません。他の弁護士のセカンドオピニオンが適切であれば、そのセカンドオピニオンを取り入れる柔軟性と謙虚さが、信頼関係の構築と維持につながるのだと個人的には考えています。

 もし、過去に自死遺族の事件を受任した経験がなく、手続や方針について具体的かつ丁寧な説明もなく、セカンドオピニオンをとることについて渋い顔をする場合は、他の弁護士に相談した方が良いかも知れません。

 なお、弁護士との契約は委任契約と呼ばれますが、委任契約はいつでも自由に解除することができますし、解除によって弁護士から金銭的な損害賠償を請求されることもありません。私は委任契約の際に「私に依頼することが嫌になったら、いつでも自由に委任契約を解除して他の弁護士に依頼することができますよ。」と説明しています。そのような説明を行うことが自死遺族の方にとって利益になると信じているからです。

若者の自死

 東京で弁護士活動をしている細川潔です。

 私は、自死遺族支援弁護団や自死遺族の会だけでなく、学校の事故・事件に関する弁護団等にも参加しています。これらの活動からご遺族の相談等を受ける機会が多々あります。

 相談等を受けて思うのが、最近、若者の自死(学生も含む)が増えているのではないかということです。相談の事案だけでなく、交渉の事案、訴訟の事案、いずれについても若者の自死に関連するものが多くなってきている印象です。

 実際、内閣府の「平成27年版自殺対策白書」でも、平成26年中に自殺した若年層(40歳未満)の自死者の数は6581人で、全自殺者数2万5218人の26.1%であるとされています。また、全自死者数が減少していく中で、若年層の自死者数の減少幅は、他の年齢階級に比べて小さいものにとどまっているとも指摘されています。

 若者の自死について思うのは、その原因・動機が必ずしもはっきりしないということです。「自殺対策白書」をみると、若者の自死の原因・動機で最も多いのが「健康問題」、続くのが「経済・生活問題」、さらに続くのが「家庭問題」となっています。しかし、これはあくまで原因が特定できた者のはなしであって、特定できない者を含めると、2番目に多いのは「不詳」ということになります。

 ひとえに若者の自死といっても、事件になる形態については様々なものがあります。

 働いている若者ならば勤務の問題が、学生であったらいじめの問題が、自死の形態によっては賃貸問題や鉄道問題が生じることがあります。若者が通院していた場合は医療過誤の問題が、若者を被保険者とする生命保険をかけていた場合は保険支払拒絶の問題が生ずることもあります。

 どのような問題であっても、自死の原因・動機については、ある程度考えざるを得ないことになると思います。しかし、考える過程において、原因・動機は「このようなことかもしれない」という程度に明らかになることもありますが、必ずしも「これである」という程度にまで明らかになるとは限りません。個人的な感想ですが、原因・動機が明らかにならず、「なぜ」という思いを抱いたままのご遺族が多いような気もしています。

 そのようなご遺族の悲しみは察するに余り有ります。弁護団としても、個人の弁護士としても、ご遺族の「なぜ」という思いに寄り添って、自死にかかる法的な問題を解決して行ければと思っています。

依然として高水準の自死者数

 滋賀で弁護士をしております、岡村庸靖と申します。

 巷ではマラソンが流行しているようです。皆さんの中にも実際にされている方もおられることと思います。東京や大阪では、数万人単位の大規模なマラソン大会も開かれています。記録を狙う真剣なまなざしのランナーが居る一方、派手に仮装をして沿道を楽しませる走る人も居たりして、多くの参加者が、ひとりひとり異なる思いをもって走っています。数万人が一斉にスタートするその光景は、圧巻です。

 それと同じ規模の人たちが、自ら命を絶っています。平成26年の自死者数は、2万5427名でした。ここ数年は、おおむね2万人代後半で推移しています。大規模なマラソン大会の参加者が、そっくりそのまま消えてしまう、というような事態が、毎年、毎年、繰り返されているのです。ピーク時(3万3093人・平成19年)からやや減っているとはいえ、異常な数だと思います。ご遺族も含めれば、相当の数の人たちが、自死の問題に関係しているのです。

 非正規雇用ばかりとなり賃金が増えず、せっかく正社員になったものの長時間労働で疲弊する。年金は削減され、税金は上がる。社会全体に余裕がなくなって、弱いもの、反論できない者が徹底的にバッシングに曝されるという、おかしな傾向も感じます。殺伐とした社会になっていっているように思います。そして、そのような余裕のない、生きにくい社会が、大量の自死者と自死遺族を生んでいるのだと思います。

 ご遺族の中には、弁護士との打ち合わせの際、気丈に振舞いがらも、自責の念や、残された家族を守らねばという責任感などで、押しつぶされそうになっている方もおられます。どうしても思い出したくないような内容に触れざるを得ない局面も生じます。無理にお話を聞くことなく、ご遺族のペースにできるだけ配慮しながら、話しやすい雰囲気を作ることを心がけています。

 依頼者の方から、当初は弁護士に「怖いイメージ」を持っていたけど、実際相談してみると「思ったより話しやすかった」と言って下さる相談者の方が大勢おられます。このホームページをご覧になっていて、相談するか否か迷っておられる方がおられましたら、是非、ご連絡いただければと思います。

「ある自死遺族の話」

(以下の事案は、特定を避けるため、若干、事実関係を変えています)

 ある日の市民法律相談会の時、「息子がギャンブルの借金を残して自死した、ついては相続放棄の方法を教えてほしい」との相談を担当しました。

 その方に息子さん借金の内容、いきさつについて聞き取り、「何とか立ち直ってほしくて、何度も大きな借金を穴埋めしてやった」「仕事も続かなくて、知り合いに頭を下げて雇ってもらったこともあったがすぐに辞めてしまった」との話のあと、「私はね、息子が死んだと聞いて、ホッとしたんですよ」とおっしゃいました。

 私は、16歳の時に父親が自死で亡くなっていますが、生前持病のために家族に負担がかかっていました。私はその男性に対して、「私は父親が自死した時に、雲が切れて青空が見えたような気持ちになりました。ああこれで大学に行けるだろう、結婚もできるかもしれないと思いました」と答えました。

 これを聞いてその方はわあっと泣き出し「おかしいな、泣いたことなどなかったのに」とおっしゃっていました。

 自死された方に生前必死に対応されてきたご家族が、自死によって解放された感じを覚えることは、決しておかしなことではないと思います。たとえ大事な家族であっても、生前必死に対応しなければならなかったなら、負担に思うのは自然です。だから、解放されたと思うのも、自然な感情だと思います。

 もし、ご家族が自死されて、あまり悲しくない自分を責めている方がいらっしゃるならば、そんな気持ちになるのは自分だけではないという事を知ってほしいと思います。そして、困っていることがあるならば、思い悩まずに当弁護団に相談に来ていただいて、解決の力にならせてほしいと思っています。

弁護団結成から約5年が経過して思うこと

 神奈川で弁護士をしている小野と申します。

 自死遺族支援弁護団が結成されて約5年が経ちます。当初、電話相談会は年に数回のみで、それ以外にはメールでご相談をいただくという形態でした。

弁護団結成当初は、賃貸物件の中での自死(以下では「賃貸事案」といいます)についてのご相談が非常に多かったように思います。最初の数年間は、私たち弁護団では、新聞記事に意見を出したり、多くの賃貸事案に関して、弁護士が複数で連携して、賃貸人や不動産会社と交渉したり裁判を行ったりしていました。

 一方で、数多く寄せられる賃貸事案のご相談ほどではありませんでしたが、当初から、過重な労働やパワーハラスメントなどが原因で自死に追い込まれてしまった方のご遺族からのご相談(以下では「労災事案」といいます)もありました。労災事案は賃貸事案と比較すると、交渉や裁判に時間がかかる場合が多いのですが、弁護団結成から約5年が経過して、ようやく、故人の長時間労働が認められて労災認定がおりたり、会社の安全配慮義務違反が認められて裁判で勝訴を勝ち取ったり、という事案が増えてきました。

 結成から約2年後の平成24年9月、電話相談を年に数回だけの企画ではなく、常設ホットライン化することができ、全国から更に多くのご相談をいただけるようになりました。弁護団結成当初に比べると、不動産業界の理解が進んだのか、賃貸事案のご相談は減少しましたが、労災事案のご相談は序々に増加している印象です。

 厚生労働省が発表している「過労死等の労災補償状況」を見ても、脳・心臓疾患に関する事案は労災請求件数、労災認定件数ともに数年連続で減少している一方、精神障害に関する事案は、平成26年度は労災請求件数は1456件、労災認定件数は497件(うち自死は99件)で、過去最多となったと報告されています。

 ホットライン以外の、普段事務所でお受けするご相談でも、お仕事のご相談をされる方は多くの方が経済面、体力面だけでなく、精神面でも非常にお辛いんだなという印象を受けることが多いです。非正規化が進み、一度職を失ったら正社員として就職するためには非常に高いハードルがあったり、成果主義に名を借りて会社が労働者に多くの責任の押しつけたりと、労働環境は間違いなく悪化しているように思います。

 遺族の方は、故人がどのような働き方をしていたかよくはわからないから何もできないと思っていらっしゃるかもしれません。でも、もしかすると仕事が原因で自死してしまったのではないかと悩まれてはいませんか。

 仮に、労災申請や会社を訴えることができなくても、私たちは、なぜ、故人が自死に追い込まれたのか、その事情を少しは解明できるかもしれません。「もしかしたら」そんな思いがあるのであれば、ぜひ、ご相談頂ければ幸いです。

亡くなられた方の声をすくいあげる―弁護士として

 法テラス岐阜法律事務所で勤務している弁護士の松森美穂です。

 自死遺族の方は、大切な方が亡くなられた際、悲しむ間もなく、さまざまな法的問題に直面されることが多くあります。そのような状況の中で、弁護士として、ご遺族に対し、法的問題の解決の道筋をお示しすることができれば、ご遺族のご負担が少しは軽くなるのではとの想いで、自死遺族支援弁護団に参加しています。

 弁護士は、依頼者や証人から、案件に関する事実を聴き取り、弁護活動をすることが多いですが、自死された方に関する案件は、たくさんの重要な情報を持っている方が亡くなってしまっていて何も話せない状態なので、事案の解明に苦労することがあります。自死された方が生前どのように過ごされていたのか、ご遺族も、全てを知っているわけではありません。自死される直前の様子はどうだったのか、どのような精神状態であったのか、会社でどのように仕事をしていたのかなど、自死遺族の取り巻く法的問題に関わる重要な事実について、亡くなられたご本人から、お話を聞くことができれば良いのですが、それができません。

 学生の時、「きらきらひかる」というテレビドラマの中で、監察医役の鈴木京香さんのセリフで、「亡くなった方は何もしゃべれないから、監察医が亡くなった方の声を聴いてあげて、真実を明らかにする…」というものがありました。当時、私は、そのセリフに、いたく心を動かされました。弁護士として働くようになって、亡くなられた方しか知らないような事情について、何か痕跡は残されていないかと資料を読んだり、調べ物をしたりするとき、私は、よく、鈴木京香さんのセリフを思い出します。監察医のようにとまではいきませんが、弁護士として、亡くなられた方が残したさまざまな痕跡を丹念に吟味して、真実をできるだけ明らかにし、自死遺族の方の法的問題の解決にお役に立ちたいと思っています。

 自死遺族の方々は、大切な人を亡くされた後は、精神的に疲弊したり、混乱したりしてしまい、ご自身が、自死に係る法的問題に巻き込まれていることや、ご遺族として行使しうる権利があることに、気付かないままであることが多いです。

 それでも、弁護士が、調査して、明らかになる事実は驚くほど多いです。まずは、われわれに、一度ご相談してください。